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これで両親が救われるということに安堵してるんだって分かった

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私が実際に牛糞を堆肥に変え、それがただのウンチとは違うものであると自分の目と鼻で確認してもらったことで、

「これは、落ち葉や生き物の死骸が精霊の力によって土へと還っていくのと同じことです」

という説明に説得力を持たせることができた。

だからか、

「まあ、物は試しということで…」

と、畑でそれを試させてもらうことを承諾してもらえた。

お父さんにそう言ってもらえて、ティンクラウラも、

「良かったね!」

って、輝くような笑顔で私に声を掛けてくれた。ホントにいい子だな。両親を想うが故に私に噛みついて、今も、私のことを案じてくれてたという以上に、これで両親が救われるということに安堵してるんだって分かった。

この子の為にも成功させなきゃと思う。

という訳で、とにかくこの場にある牛糞で作った堆肥を桶に入れて土を上下入れ換えた畑へと運んだ。

正直、量としてはまだ全然足りないから畑の一部だけにしか撒けないけど、それでもまずはここからだ。

「畑に撒く量は必ず守ってください。これは精霊との契約なので、破ると畑が呪われます」

『精霊との契約なので、破ると畑が呪われる』

精霊の存在が信じられてる世界ではこの言い方がどうやら一番説得力があるみたいで、敢えてそういう強い言い方をする。それに、<精霊=微生物とそれに関係する様々な事象>とも言えるわけで、過剰に使われると不具合が生じる=呪いという意味合いでは間違ってないと思うし。

そして私は、土の状態を確かめながら、<精霊の言葉>を確かめながら、堆肥を混ぜ混みつつ畑を耕した。

ティンクラウラや、彼女の両親と一緒に。

そこに、

「すいません、遅くなりました!」

他の仕事で後から合流することになってたティンクフルムも駆けつけ、四人で畑を耕し、比較的早く収穫できて結果を確認しやすい、二十日大根やレタス(に似た野菜)を植える。

作業を終えると、

「もしよろしければ、今日はうちで夕食にしていきませんか?」

父親が私に向かってそう言うと、ティンクラウラが、

「そうしていってよ、カリン!」

抱きつかんばかりの勢いで声を上げる。何気なく視線を向けると、ティンクフルムも頷いてた。

その迫力に圧されつつも、

「じゃあ、お言葉に甘えて」

私はそう応えてたのだった。



だけど夕食は、とても質素なものだった。まさに一汁一菜。白いご飯に味噌汁に似た汁物。後は葉物野菜のお浸しだけ。役人詰所で出たものも、必ずしも豪華と言えるものじゃなかったけど、さらに慎ましい。

これが、現状では十分な収穫量を確保できてないこの国の農民達の現実か……

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