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具体的な仕組み作りにさっそく入らせてもらうことにする

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私の護衛の為についてきた兵士達は、いかめしい顔はしてるけど、だからって奴隷達に狼藉を働くとかいうようなこともなく、ただ規律正しく待機してるだけだった。この辺りは、日本の自衛隊にも通ずるものがあるのかもしれないな。

奴隷達の怪我も、市民の一部に乱暴な人がいてって感じかもしれない。

この辺りは、善人だけの国、聖人だけの国なんていうものが存在しない以上は、どこの国でも大なり小なりあることなんだと思う。残念だけどね。この国の場合は、特に王族や貴族への不平不満が高まってるからそれだけ、つい、って形で八つ当たりをしてしまうのかもしれない。

まあ、そういう部分についてはいつものことだけど、私はあからさまに関知することはしないでおこう。それより仕事仕事。

<処分場>を確認した私は、

「ありがとう。邪魔してごめんね」

と、宿舎を担当してた女性に声を掛けて、そのまま街へと戻った。兵士達も私の後を付かず離れずでついてきて、詰所の前で待っていたブルイファリドに敬礼をして、

「ご苦労様でした。それでは部隊に戻ってください」

って命令を受けると「はっ!」と敬礼をして足早に去っていった。その様子がますます、どこかだらけてたバンクレンチ達とは違ってるなというのが正直な印象だな。

バンクレンチ達も気のいい連中だったんだけどね。ただ、<軍人としての規律>として見るならこの国の兵士達の方がしっかりしてるのは感じる。

なんてのも余談だから置くとして、ブルイファリドに、

「<処分場>も確認してきました。取り敢えず今後のことは、私達で勝手に決めていいんですね?」

と再度確認する。

「はい、結果として王族や貴族の意向に沿う形にさえなれば、途中の手順については完全に現場の裁量に任されてます。正直、財政そのものも、王族や貴族のそれと、一般国民とのそれとは別立てになっていて、私達自身がやりくりしないといけないんです」

だって。

はあ、ますますもって、『美味しいとこどり』したいだけの政治体制なんだね。よその国じゃ、すぐにでもクーデターが起きそうな形だよ。この国の国民達は本当に我慢強いんだなあ。

などと感心しつつ、上からの茶々が入らないのならそれは望むところということで、具体的な仕組み作りにさっそく入らせてもらうことにする。



でも、上からの干渉がない分やりやすいかと思ったら、現場の権限が強い上に、結果さえ望んだものになればいいということもあって、意外と手強かったりしたんだよね。

生真面目な分、決まった仕組みを変えることに抵抗感があったみたいなんだ。

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