何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十

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まあ、それなりに上手く考えられてるとは思う

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そんな訳で、普通の人間相手の自衛手段なら問題ないから護衛は要らないって言ったんだけどね。

でもどうしてもっていうブルイファリド達の立場も理解できなくはないから承諾した。でも、私と一緒に兵士達がついてくることに、奴隷達は酷く緊張してるのが分かる。『何をされるんだろう…?』って感じで怯えてたり、警戒してたりしてるんだ。

だから、『命に係わるようなことじゃない限りは絶対に手出ししないでください』とは釘を差しておいたけど。

まあそのおかげもあってか、何とも言えない緊張感もありつつ特にトラブルもなく、日が上る頃には処分場に到着できた。

で、その<処分場>ってのが、また、<施設>なんてのは名ばかりのただのでっかい<穴ぼこ>だった。畑に使う為の土を掘りだした跡地を、ウンチの最終処分場として再利用してるらしい。そこに専門の<魔法使い>が待機してて、ウンチをカラッカラのパサパサに変化させて穴に捨てるんだ。それで埋め戻すってことだな。

まあ、それなりに上手く考えられてるとは思う。

周辺の町から排泄物を集めてきた何十人もの奴隷達が、待機してる。その誰もが、包帯を巻いてたり、傷痕があったりで、どういう扱いを受けてるかが改めてよく分かった。

私がいる宿舎に回収に来た女性の姿も、明るいところで見るとなおさら痛々しい。

その彼女が、荷車から排泄物が入った桶を下ろすと、魔法使いが<処理>して、カラッカラのパッサパサになったものを穴に捨てる。

<魔法使い>と言っても、奴隷の中で辛うじてウンチを処理する魔性が使える人をその役目に充ててるだけで、本職の魔法使いじゃないのはすぐに分かった。

カッサカサのパッサパサになったウンチは体積がすごく小さくなるからこうやって捨ててもすぐに溢れることもない。ただ、すごく乾燥してるから少し風が吹いただけで土埃のように舞い上がる。菌は死滅してるから感染症の心配はなくても、あまり吸い込むと塵肺とかのリスクはありそうだな。

と、そういうことも考えつつ、処理場のシステムそのものはごく単純なものだったから、すぐさま堆肥の一時保管場所への転用も簡単そうだ。肥沃な土地ということで河が近いのかと思えば案外そうでもなく、どうやら水の便があまりよくないこともあって、そのまま畑に転用されるんじゃなくて、あくまで土を採取する場所になったみたいだね。

千年単位の昔は河が近くにあって度々洪水が起こってそれで養分が豊富な土が溜まったのかもしれないけど、河の流れが変わったことで水源が遠くなってしまったって感じかな。

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