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そういう気性をうまく利用されて支配されてるんだなというのが
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「さて、始めますか」
翌日、ロイドガリウスさん、いや、ブルイファリドが手配してくれた人員、総勢二十余名を前に、私はそう声を掛けた。
「はい!」
と、生真面目そうな返事が返ってくる。軍の小隊を一つ、都合してくれたんだ。その辺りまでこの国の偉いさん達は現場に丸投げしているらしい。
それでよくクーデターが起きないなとは思うものの、ここの人達は本当に生真面目で我慢強く、『それがルールだから』と大人しく従っているらしい。
でもそういう気性をうまく利用されて支配されてるんだなというのが何となく分かってしまった。
とは言え、他国の内政に干渉する訳にもいかないから、
『皆さんはそれでいいんですか!?』
みたいなことは敢えて言わない。彼らがこの国の体制を受け入れてるならそれは彼らの問題だ。私が口出しすることじゃない。
という訳でそれはさておき、他の国と同じように畑を交代で休ませていたここでも、今年は休ませる筈だった畑の土、数十センチ分をごっそりと削り取って山積みにし、現れた赤茶けた土をさらに数十センチ削り取ってそれも山積みにした。
「これはいったい……?」
まだ暑さが本格的じゃない時期なのに汗だくになって困惑顔のブルイファリドが問い掛けてくる。
すると私は、
「まだですよ。今度はこっちの黒い土を戻して、そしてさらにその上にこっちの赤い土を戻してもらいます」
その容赦のない指示に、それなりに頑健そうな若い軍人達も「うええ?」って顔をする。
「土を入れ替えるっていうのは分かりました。でも、他から持ってきてかぶせるんじゃダメなんですか?」
水気を含んだ粘土質の重い土を畑に戻しながら、ブルイファリドが言う。
だけど私は、
「その辺は後で説明するからとにかく今はとっととやる!」
と、私自身、ショベルを振るいながら言った。
女の私が率先してやってるからか、ブルイファリドもティンクフルムも若い軍人達も、文句は言わずに黙々と作業を続けてくれた。
で、朝から始めて日が暮れる頃にようやく、畑の一つ、土の入れ替えが終わったのだった。
でもさすがにこの頃には誰も口をきく気力もなく、私自身も畑に大の字になって倒れてた。
「ご……ご苦労さま…っ! これで今日の作業は終わりです……!」
ようやくそれだけを言ったけど、体を起こせるようになったのは、太陽が完全に山の向こうに姿を消した後だったと思う。
気付くと若い軍人達の姿はなく、そこにいたのは私とブルイファリドとティンクフルム。そして休日明けで出勤してきてそのままここに連れてこられた役所の職員達三人だけなのだった。
翌日、ロイドガリウスさん、いや、ブルイファリドが手配してくれた人員、総勢二十余名を前に、私はそう声を掛けた。
「はい!」
と、生真面目そうな返事が返ってくる。軍の小隊を一つ、都合してくれたんだ。その辺りまでこの国の偉いさん達は現場に丸投げしているらしい。
それでよくクーデターが起きないなとは思うものの、ここの人達は本当に生真面目で我慢強く、『それがルールだから』と大人しく従っているらしい。
でもそういう気性をうまく利用されて支配されてるんだなというのが何となく分かってしまった。
とは言え、他国の内政に干渉する訳にもいかないから、
『皆さんはそれでいいんですか!?』
みたいなことは敢えて言わない。彼らがこの国の体制を受け入れてるならそれは彼らの問題だ。私が口出しすることじゃない。
という訳でそれはさておき、他の国と同じように畑を交代で休ませていたここでも、今年は休ませる筈だった畑の土、数十センチ分をごっそりと削り取って山積みにし、現れた赤茶けた土をさらに数十センチ削り取ってそれも山積みにした。
「これはいったい……?」
まだ暑さが本格的じゃない時期なのに汗だくになって困惑顔のブルイファリドが問い掛けてくる。
すると私は、
「まだですよ。今度はこっちの黒い土を戻して、そしてさらにその上にこっちの赤い土を戻してもらいます」
その容赦のない指示に、それなりに頑健そうな若い軍人達も「うええ?」って顔をする。
「土を入れ替えるっていうのは分かりました。でも、他から持ってきてかぶせるんじゃダメなんですか?」
水気を含んだ粘土質の重い土を畑に戻しながら、ブルイファリドが言う。
だけど私は、
「その辺は後で説明するからとにかく今はとっととやる!」
と、私自身、ショベルを振るいながら言った。
女の私が率先してやってるからか、ブルイファリドもティンクフルムも若い軍人達も、文句は言わずに黙々と作業を続けてくれた。
で、朝から始めて日が暮れる頃にようやく、畑の一つ、土の入れ替えが終わったのだった。
でもさすがにこの頃には誰も口をきく気力もなく、私自身も畑に大の字になって倒れてた。
「ご……ご苦労さま…っ! これで今日の作業は終わりです……!」
ようやくそれだけを言ったけど、体を起こせるようになったのは、太陽が完全に山の向こうに姿を消した後だったと思う。
気付くと若い軍人達の姿はなく、そこにいたのは私とブルイファリドとティンクフルム。そして休日明けで出勤してきてそのままここに連れてこられた役所の職員達三人だけなのだった。
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