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不敬罪どころか下手をすると国家反逆罪で死罪だって有り得るからだろうな

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『失礼な態度しちゃダメじゃないか』

ティンクフルムくんはそう言ってくれるけど、私はこういうのは割と平気だった。慣れたというか、『そういうものだ』って思ってるというか。

「大丈夫だよ。いつものことだから」

私はティンクフルムくんにそう声を掛けて、敢えて妹さんの前に進み出た。その私を、彼女は挑みかかるような目で見てる。

そして、

「またお父さんとお母さんを困らせに来たの!? もういい加減にして! お米作ってた頃はもっとちゃんとたくさん作れた! なのに急に他のを作れとか、勝手だよ! 私達をイジメるのがそんなに楽しいの!?」

って。

それは、農民の立場としての支配階級に対する正直な不満だったと思う。これまでにもよく耳にした話だ。農のことを知りもしないクセに無理難題ばかりを押し付けてくる、何も与えず奪うだけの支配者達への憤りだ。

「ラウラっ!!」

そう言ったティンクフルムくんの声は、殆ど悲鳴のようだった。こんなに露骨に支配者達を罵っているのが知られたら、不敬罪どころか下手をすると国家反逆罪で死罪だって有り得るからだろうな。

でも、ラウラと呼ばれた女の子の言葉には、

『このまま虐げられ続けるくらいなら死んだ方がマシ!』

と言いたげなものが込められているのが私にも察せられた。

だから言ったんだ。

「分かるよ。私もいっつも無茶な要求を突き付けられて辟易してる。だけどさ、文句言ってるだけじゃ<力を持つ者>には勝てないんだよ。具体的に動かなきゃダメなんだ。それも、効果的にね」

そう言った自分が笑顔になってることを、私も気付いた。自然と出た笑顔だった。

するとラウラは、

「そ……それができたら苦労なんてないよ…っ!」

なんて吐き捨てるように言いながらも、私の態度に戸惑ってるのが見て取れた。てっきり、

『無礼な! この者をひっとらえろ! 磔にしてやる!!』

とでも言ってくると思ってたんじゃないかな。彼女の目には、それだけの覚悟さえ見えた気がした。

だけどそれと同時に分かってしまった。この国の状況は、思った以上に深刻だって。国民の不満がヤバいくらいに溜まってるって。

私は言った。

「ラウラちゃんって言ったかな? 私はあなた達をイジメに来たんじゃないよ。私は収穫量を上げに来たんだ。王族や貴族をびっくりさせてやりに来たんだ。『どうだ! 参ったか!?』って言ってやりに来たんだ。だからお願い。力を貸して。あなた達の力が必要なんだ」

真っ直ぐに見詰め返しながらそう言う私に、ラウラの目が潤むのが分かったのだった。

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