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止めたければ、その為に具体的に動かなきゃいけない

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『戦争を起こしたい人間の理屈が理解できない立場…か。言われるまでもなく、私はそうだよね』

屋敷に戻って、また私の為にと用意してもらった仮設の<風呂>に入りながらそんなことを考えていた。

すると、なんだか外が騒がしい。

「何やってんだお前ら!!」

と、バンクレンチの怒鳴り声。

『何をやってんだか…』

呆れながら湯船からあがって、体を拭いて、部屋着に着替えて、リビングに戻ると、若い部下二人の首根っこをひっ捕まえたバンクレンチが私を見るなり二人の頭を押さえつけて、

「すんませんでした!」

って。

「なに? どうしたの?」

私が訊き返すと、

「こいつら、カリンさんの風呂を覗こうとしてたんですよ」

「…は?」

そういうことか。

実は今回設置されたお風呂、ちょっと作りが雑で、ところどころ、壁に隙間があるんだ。だから覗こうと思えば覗けてしまう。

「ほら、お前らもちゃんと謝るんだよ!。心から反省しろ!!」

「すんません! 出来心で……!」

なんだかマンガの一シーンみたいなその様子に、私はお風呂を覗かれそうになったことに腹が立つよりも、ついつい笑えてきちゃって。

「ふふふ…♡」

緩く握った手を口に当てて笑う私に、三人は申し訳なさそうに苦笑いになってた。

「いいよ、もう二度とやらないって誓ってくれるなら、今回は見逃したげる。だけど、こんなオバサンの裸とか見たかったの?」

そうだ。私ももう四捨五入すれば三十になるアラサー。十八で成人として認められて、平均寿命が六十にも満たないこの世界じゃ、立派な<オバサン>だ。

「いえ! カリンさんだから見たいなって……!」

と、若い部下の一人がそんなことを言ったら、バンクレンチが、

「反省してねえじゃねーか!!」

って言いながら頭を拳骨でゴツンと。

それは、<罰>っていうよりはなんだかただのレクリエーションにも見えた。だって、殴られた方も、「すいません! 主任!>なんて半笑いで応えてるし。

<主任>というのは、私がバンクレンチに与えた役職。<隊長>じゃおかしいからね。

でも、いいな。こういうの。私はこの光景を守りたいから戦争を回避したいんだ。戦争になって派兵されることになれば、バンクレンチ達がその任に当たることになる可能性もある。そうして戦に出れば、帰ってこれない可能性も。

殺さなければ殺されるのが戦争だ。だから、戦争になってから「戦争反対!」って言っても遅いんだ。そして、口で「戦争反対」を唱えてるだけでは、それは止められない。止めたければ、その為に具体的に動かなきゃいけない。

今なら、それが分かる。そして私は、その為に動いてる。

『負けられないよね』

改めてそう思う。

よし! 明日も頑張るぞ。クレフリータも動いてくれてる。クレフリータの<工作>に力を与える為に、私は私にできることをするんだ。

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