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あなたを敬い丁重にもてなすようにと陛下から厳に申し付けられておりますので
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そうやって私とクレフリータが話をする少し前、陛下が用意してくれた仮住まいの屋敷への案内役を、タレスリレウト、もといペテルソンエスがしてくれた。
で、屋敷に向かう道中、私は敢えて遠慮なく訊いてやった。
「タレスリレウト。あなたやっぱり、間諜だったんだね」
単刀直入な私の言葉に、陛下によく似た美麗な顔が苦笑いを浮かべる。
「あなたにはかないませんね。ベルマスミスク侯。しばらくあなたのことを見てきましたが、抜け目のない方だとお見受けしました」
「その、<侯>っていうのはちょっとどうかなって気がするんですけど、やめる訳にはいきませんか? 私は貴族とかじゃありませんから」
「申し訳ありません。あなたを敬い丁重にもてなすようにと陛下から厳に申し付けられておりますので」
「う~ん、じゃ、まあそれはいいか。でも、詳しい事情は話してもらえるのかな?」
「申し訳ありません。その辺りについても、私にも役目というものがありまして」
「そっか。でも、そうなると私はあなたのことを信用はできないけど、それについては承知しておいてほしいと思う」
「そうですね。残念ですが無理もないと私も思います」
って、彼はまた困ったように笑みを浮かべた。
ここまでのやり取りの様子を見てても、やっぱりあの青年陛下によく似てると思った。まあこういう社会だから、異母兄弟とか妾腹の子とかはよくある話だし、継承権はないけど肉親の情として身近には置いておこうっていうのもよくある話だろうから、あまり詮索しても意味はないのか。
彼は続ける。
「この地での皆様方のお世話係兼警護係として、信頼が得られるように尽くさせていただきます」
なんてことがあったんだけど、その数日後、ようやく落ち着いて一息つきながら一緒に食事をしてた時、彼、ペテルソンエスがいきなりぶっちゃけてきた。
「実は、私の本当の名前がタレスリレウトなのです。マウレハンス・タレスリレウト。そちらが、生まれた時に私に与えられた名前でした。そして私は、父が使用人の一人に手を出したことで生まれた子なんです」
だって。
どうして突然、そんなことをぶっちゃけたのか気になったけど、それはそれとして一応、話は聞くことにした。
「つまり、陛下の父君が、あなたのお父さんってことでいいのかな?」
「その通りです。母は私を宿したことを理由に王宮を追われたのですが、父は母のことが忘れられなかったようで、その後も使いを寄こしては連絡は取り合っていたようです。
でも、王妃がそれを許さずに……なにしろ私の母であるその使用人は、王妃様の実の姉でしたので、それで余計に思うところがあったようですね」
「昼ドラ並みにドロドロした話だね……」
で、屋敷に向かう道中、私は敢えて遠慮なく訊いてやった。
「タレスリレウト。あなたやっぱり、間諜だったんだね」
単刀直入な私の言葉に、陛下によく似た美麗な顔が苦笑いを浮かべる。
「あなたにはかないませんね。ベルマスミスク侯。しばらくあなたのことを見てきましたが、抜け目のない方だとお見受けしました」
「その、<侯>っていうのはちょっとどうかなって気がするんですけど、やめる訳にはいきませんか? 私は貴族とかじゃありませんから」
「申し訳ありません。あなたを敬い丁重にもてなすようにと陛下から厳に申し付けられておりますので」
「う~ん、じゃ、まあそれはいいか。でも、詳しい事情は話してもらえるのかな?」
「申し訳ありません。その辺りについても、私にも役目というものがありまして」
「そっか。でも、そうなると私はあなたのことを信用はできないけど、それについては承知しておいてほしいと思う」
「そうですね。残念ですが無理もないと私も思います」
って、彼はまた困ったように笑みを浮かべた。
ここまでのやり取りの様子を見てても、やっぱりあの青年陛下によく似てると思った。まあこういう社会だから、異母兄弟とか妾腹の子とかはよくある話だし、継承権はないけど肉親の情として身近には置いておこうっていうのもよくある話だろうから、あまり詮索しても意味はないのか。
彼は続ける。
「この地での皆様方のお世話係兼警護係として、信頼が得られるように尽くさせていただきます」
なんてことがあったんだけど、その数日後、ようやく落ち着いて一息つきながら一緒に食事をしてた時、彼、ペテルソンエスがいきなりぶっちゃけてきた。
「実は、私の本当の名前がタレスリレウトなのです。マウレハンス・タレスリレウト。そちらが、生まれた時に私に与えられた名前でした。そして私は、父が使用人の一人に手を出したことで生まれた子なんです」
だって。
どうして突然、そんなことをぶっちゃけたのか気になったけど、それはそれとして一応、話は聞くことにした。
「つまり、陛下の父君が、あなたのお父さんってことでいいのかな?」
「その通りです。母は私を宿したことを理由に王宮を追われたのですが、父は母のことが忘れられなかったようで、その後も使いを寄こしては連絡は取り合っていたようです。
でも、王妃がそれを許さずに……なにしろ私の母であるその使用人は、王妃様の実の姉でしたので、それで余計に思うところがあったようですね」
「昼ドラ並みにドロドロした話だね……」
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