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仕事ってそういうものだと私は思ってる。トップに立つ人間は責任を取る為にいるんだ

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とにかく、私は、自分にできることをする。そう決めて、メトラカリオス公国での<仕事>を始めた。

その為の拠点として陛下から与えられた屋敷に腰を落ち着ける為に用意をしてた時、不意にクレフリータが私に声をかけてきた。

「ひとつ、お前に謝っておかないといけないことがある」

「…なに? 突然」

思いがけない言葉に、少し戸惑ってしまった。

「実はな、メトラカリオス公国の前領主による暗殺未遂は、どうやら私が原因だったらしいのだ」

「え? どういうこと?」

「まあ聞け。というのも、ムッフクボルド共和国に入る際に私が接触した男がいただろう?」

「…え、と、ベルト…マクタとかいう人のこと?」

「ああ、そいつだ。そいつがな、前領主の間諜だったようなのだ」

「…そうなんだ」

「あまり驚かんのだな」

「まあ、正直、慣れたっていうのもあるかな。そういう話って、別に普通なんでしょ?」

「…お前は本当に面白いところで肝が据わってるな。確かにその通りだ。で、ベルトマクタの奴が前領主と繋がっててな。私達の情報を流したらしい。そのせいで、お前達を危険な目に合わせてしまった」

クレフリータは申し訳なさそうにそう言うけど、私にとっては『なんだ、そんなこと』って感じだった。さっきも言った通り、たぶん、慣れたっていうのが大きいのかな。

「私は、そういう部分をリータに任せてきたんだし、そこでリータがミスをしても、それは任せてた私の責任だよ。何かあるのが嫌なら自分でやればいいけど、私にはその手の裏のやり取りっていうのは全然向いてないし、何をどうしたらいいのかも分からない。だからあなたに任せた。あなたのミスは私のミスってことだね」

「……まったく……それがお前達の考え方なのか」

「みんなって訳じゃないけど、そういう考え方をする人は割といるんじゃないかな。でないとさ、怖くて任せてられないよ。仕事ってそういうものだと私は思ってる。トップに立つ人間は責任を取る為にいるんだ」

「そんな考え方もあるんだな。この世界では考えにくいが」

確かに、多くの支配階級は、臣下の些細な失敗を許さずに即処刑っていうのが普通だった。任せたのは、その人に役目を割り振ったのは自分なのに、それを任せた自分の責任というものを考えない人は多い。それが下の人間の不満を募らせる原因になるっていうのが理解できてないんだろうな。

私は、そういうのが嫌だった。任せた自分の責任を棚に上げて一方的に責めるってのが。

最後に言った。

「それに、リータ、あの時、『情報を流してもいい』みたいなこと言ってたよね。想定済みってことだったんじゃないの?」

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