何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十

文字の大きさ
上 下
146 / 535

美女のようにも見える美麗な青年陛下は、まさに<今時の若者>だったんだろうな

しおりを挟む
『先代は、非情に短絡的な人物でしたので』

完全に余所者でしかない私達の前でそんな言葉を口にするアルバミスト・ルェン・フォーサリス・メトラカリオス陛下に、私も戸惑わずにはいられなかった。もう何年もこの世界で暮らしてそれなりに馴染んできてたこともあって、私自身もそういうのが普通じゃないことくらいは分かっていたから。

だから何となく、今、私の目の前にいるこの人物が、現代日本で言う<今時の若者>的な感覚を持ってるんじゃないかなと察してしまった。

地球でも、紀元前の遺跡に『今時の若い者は』なんていう意味のことが書かれてたりするらしいから、実は何千年も昔から前の世代と新しい世代とのギャップというものはあったんだろうなっていうのが分かる気がする。

で、この、美女のようにも見える美麗な青年陛下は、まさに<今時の若者>だったんだろうな。

単に、領主の立場に就けるだけの身分にいたというだけで。

まあその点で言えばクレフリータも相当な<変わり者>であり、前の世代の人達から見れば<今時の若者>って感じだろうから、似たようなものか。

「なるほど陛下は革新的な方とお見受けします」

と、クレフリータは彼を評した。

でも、陛下は、

「私は自分を<革新的>だとは思っていません。ただ、時勢に合わせて合理的な対処をしたいだけですよ。

その点、先代は古い考えに縛られ古色蒼然とした古城のような人物でした。そのような人物にこの国は任せておけないと思ったのです」

って。

だけど私はこの時、少し背筋に冷たいものが奔るのを感じてしまった。柔らかく微笑んでるように見えて、言ってることはひどく冷淡でほの暗いものを含んでるように思えてしまったのかもしれない。

なにしろ、今の言い方だと、『自分が先代領主を謀殺した』って告白してるようなものだと思ったから。

なるほど。パッと見には優男でいい人そうにも見える笑顔もできるけど、やっぱり国のトップにも立とうという人間は、<良い人>なだけじゃ務まらないってことなんだろうね。

だけど、私は逆にそれで自分が落ち着くのを感じてた。ただの<良い人>が相手だと、かえってやりにくい気がしたから。<良い人>って、個人的に付き合う分にはありがたいことも多いんだけど、誰に対しても良い顔をしようとする一面もあって、話が進まないことがあるんだ。

特に、新しいことをしようとする時には、それによって一時的に不利益を被る人も出てくる可能性があって、<良い人>はそういう人達の顔色も窺ってしまう傾向があるから。

ヘルデカイラス公国でも、魔法使いを募った時にちょっとごたついたみたいにさ。あの時は、領主様がごねる魔法使い達を抑えてくれたから結果としてはスムーズにいけたからね。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】妃が毒を盛っている。

井上 佳
ファンタジー
2年前から病床に臥しているハイディルベルクの王には、息子が2人いる。 王妃フリーデの息子で第一王子のジークムント。 側妃ガブリエレの息子で第二王子のハルトヴィヒ。 いま王が崩御するようなことがあれば、第一王子が玉座につくことになるのは間違いないだろう。 貴族が集まって出る一番の話題は、王の後継者を推測することだった―― 見舞いに来たエルメンヒルデ・シュティルナー侯爵令嬢。 「エルメンヒルデか……。」 「はい。お側に寄っても?」 「ああ、おいで。」 彼女の行動が、出会いが、全てを解決に導く――。 この優しい王の、原因不明の病気とはいったい……? ※オリジナルファンタジー第1作目カムバックイェイ!! ※妖精王チートですので細かいことは気にしない。 ※隣国の王子はテンプレですよね。 ※イチオシは護衛たちとの気安いやり取り ※最後のほうにざまぁがあるようなないような ※敬語尊敬語滅茶苦茶御免!(なさい) ※他サイトでは佳(ケイ)+苗字で掲載中 ※完結保証……保障と保証がわからない! 2022.11.26 18:30 完結しました。 お付き合いいただきありがとうございました!

『悪役』のイメージが違うことで起きた悲しい事故

ラララキヲ
ファンタジー
 ある男爵が手を出していたメイドが密かに娘を産んでいた。それを知った男爵は平民として生きていた娘を探し出して養子とした。  娘の名前はルーニー。  とても可愛い外見をしていた。  彼女は人を惹き付ける特別な外見をしていたが、特別なのはそれだけではなかった。  彼女は前世の記憶を持っていたのだ。  そして彼女はこの世界が前世で遊んだ乙女ゲームが舞台なのだと気付く。  格好良い攻略対象たちに意地悪な悪役令嬢。  しかしその悪役令嬢がどうもおかしい。何もしてこないどころか性格さえも設定と違うようだ。  乙女ゲームのヒロインであるルーニーは腹を立てた。  “悪役令嬢が悪役をちゃんとしないからゲームのストーリーが進まないじゃない!”と。  怒ったルーニーは悪役令嬢を責める。  そして物語は動き出した…………── ※!!※細かい描写などはありませんが女性が酷い目に遭った展開となるので嫌な方はお気をつけ下さい。 ※!!※『子供が絵本のシンデレラ読んでと頼んだらヤバイ方のシンデレラを読まれた』みたいな話です。 ◇テンプレ乙女ゲームの世界。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げる予定です。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

処理中です...