何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十

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有史以前から脈々と受け継がれてきた先人達の努力や知恵が浅墓なものの訳ないよ

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会社の設立とかについては、詳しく説明したら、固有名詞が変わるだけでこれまでのと同じ内容になるから触れない。

話を聞く分にはいろいろドラマティックな展開が欲しいところなんだろうけど、そういうのは他を当たってくれたらいい。私は私のやるべきことをするだけだから。

そうして私が<私のやるべきこと>をやってる間に、クレフリータは彼女のやるべきことをやってたみたいだった。

きっと、彼女に焦点を当てて話をした方が盛り上がるんだろうなとはつくづく思う。

なんてことはさて置いて、この辺りは南の方の暖かい空気が流れ込んでくる土地柄か割と気候が温暖で、冬でも雪がほとんど積もらないらしい。そういう訳で、せっかくだからここでも雪瓜の作付けを行うことにする。

突然攫われる可能性は前もってクレフリータに言われてたから当然、必要なものは身に付けてた。雪瓜の種も袋に入れて、いつも着る服に縫いつけてあった。少し気候が温かいところでも無事に育ったものの種だ。

で、せっつく役人に取り敢えずいくらかでも成果を見せてあげようと、作付けを行った。あと、ここで手に入った二十日大根によく似た野菜も作付けする。いくら多少は温暖と言っても普通に植えたら寒すぎて小さくしか育たないそれを、特に日当たりが良くて暖かい場所を選んで土を調整し、植えてみた。

すると、

「信じられん…!」

と役人が目を剥くぐらいの出来になった。雪瓜もすごく順調だ。

もっとも、ここもやっぱり、土が良いからそれができるんだけどね。本当に、この世界の農家の人達はみんな、真摯に土に向き合ってるんだって感心する。

いや、きっと地球でもそうだったんじゃないかな。実際に畑に出て、代々、農を営んできた人達は真面目に取り組んでたんだ。ただ、それをよく知らない一部の身勝手な人達が余計な真似をして駄目にしちゃったり、戦争で荒らしちゃったりしただけでさ。

でないと道理に合わない。有史以前から脈々と受け継がれてきた先人達の努力や知恵が浅墓なものの訳ないよ。

農耕は、近代的な<工業技術>よりも、はるかに長い歴史の上に成り立ってるんだから。

いつしか私も、土を口に入れてその<味>でだいたいの状態が分かるようになってきた。大学で講義を受けてた教授がしてたのを真似してみたんだけど、本当に土の味の違いでphとか水分量とか土の中の有機物の量とかまである程度は分かるんだなって。もちろん、土には体の中に入ると危険な常在菌とかもあるから、魔法でその辺は対処した上でだけどね。安易に真似すると危険だよ。

でもそうやって私が顔じゅう土まみれにしてやってるからか、農家の人達も協力的になってくれる。

もっともそれは、私が領主とかの権力者の後ろ盾を得た上でそこまでやってるからなんだろうけどね。

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