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どうしても幼い頃から染みついた因習にはついつい引きずられてしまう
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リレは本当に<優秀な人材>だった。その顔を覆う痣のせいで疎まれてきたけど、その知能は確実に標準的なそれを上回ってると思う。きちんと教育さえ受けられれば、十分以上に働ける。
ただ見た目が『普通じゃない』というだけでそんな風に扱われる人達がいるというのが本当に残念だった。そういうことが科学や技術の進歩を妨げてるっていう気もする。
一方で、堆肥の回収の為の人手として、<ちょび髭の領主様>に頼んで奴隷を回してもらった。<計画的な産業>を標榜するこの国では、仕事もあまり自由に選べないらしい。だから新たに奴隷を手配してもらったんだ。
だけど、建前上は奴隷はいないことになってるから、ひどく大人しくて不安そうな表情で私達を見るだけで、見た目には本当に<普通>の人達だった。
とは言え、<ちょび髭の領主様>に買われるまではそれなりの扱いも受けてきたからか、栄養状態も芳しくなかった。
だから私は、その奴隷達の管理をリレに一任することにしたんだ。
「私が今日から皆さんの上司になります、リレです」
正直、板についてるとは言い難い、少しぎこちなさの残る感じで、リレは整列してた奴隷達に向かってそう言った。それでも、向こうでも仮にとはいえ奴隷達のリーダーだったから、ある程度は慣れてると思う。
ただこっちでは、<売れ残り>じゃない普通の奴隷だったから、年齢は一応、十三歳から十五歳くらいの子供達だったんだけど、男の子も結構混ざってたんだよね。だから余計に、リレも緊張しちゃったみたい。
けっこうイケメンな感じの男の子もいたからね。
「我が国では考えられない光景ですね」
私の隣に立ったルイスベントがしみじみと声を漏らす。彼もファルトバウゼン王国の貴族だからご多聞に漏れず奴隷に対してはある種の嫌悪感があったのは否めない。私と関わることでそれもかなり慣れてきたとは言っても、やっぱり彼にとっては、奴隷が普通の格好をしてこうして整列してるというのは違和感を覚える光景なんだろうな。
「私は、仕事ができる人なら、国も人種も背景も問いません。結果を出してくれればいいんです」
きっぱりと言い切る私に、ルイスベントは苦笑いを浮かべる。
「あなたの先進性には本当に頭が下がります。私も見習わなければと思うのですが、どうしても幼い頃から染みついた因習にはついつい引きずられてしまう」
彼が悪気無く身に沁みついた感覚として奴隷を下に見てしまうことについては、別に責めるつもりもない。
そんな私を優しく見詰めながら、彼は言ったのだった。
「だからこそ、私にできないことができるあなたのことを想ってしまうのです」
ただ見た目が『普通じゃない』というだけでそんな風に扱われる人達がいるというのが本当に残念だった。そういうことが科学や技術の進歩を妨げてるっていう気もする。
一方で、堆肥の回収の為の人手として、<ちょび髭の領主様>に頼んで奴隷を回してもらった。<計画的な産業>を標榜するこの国では、仕事もあまり自由に選べないらしい。だから新たに奴隷を手配してもらったんだ。
だけど、建前上は奴隷はいないことになってるから、ひどく大人しくて不安そうな表情で私達を見るだけで、見た目には本当に<普通>の人達だった。
とは言え、<ちょび髭の領主様>に買われるまではそれなりの扱いも受けてきたからか、栄養状態も芳しくなかった。
だから私は、その奴隷達の管理をリレに一任することにしたんだ。
「私が今日から皆さんの上司になります、リレです」
正直、板についてるとは言い難い、少しぎこちなさの残る感じで、リレは整列してた奴隷達に向かってそう言った。それでも、向こうでも仮にとはいえ奴隷達のリーダーだったから、ある程度は慣れてると思う。
ただこっちでは、<売れ残り>じゃない普通の奴隷だったから、年齢は一応、十三歳から十五歳くらいの子供達だったんだけど、男の子も結構混ざってたんだよね。だから余計に、リレも緊張しちゃったみたい。
けっこうイケメンな感じの男の子もいたからね。
「我が国では考えられない光景ですね」
私の隣に立ったルイスベントがしみじみと声を漏らす。彼もファルトバウゼン王国の貴族だからご多聞に漏れず奴隷に対してはある種の嫌悪感があったのは否めない。私と関わることでそれもかなり慣れてきたとは言っても、やっぱり彼にとっては、奴隷が普通の格好をしてこうして整列してるというのは違和感を覚える光景なんだろうな。
「私は、仕事ができる人なら、国も人種も背景も問いません。結果を出してくれればいいんです」
きっぱりと言い切る私に、ルイスベントは苦笑いを浮かべる。
「あなたの先進性には本当に頭が下がります。私も見習わなければと思うのですが、どうしても幼い頃から染みついた因習にはついつい引きずられてしまう」
彼が悪気無く身に沁みついた感覚として奴隷を下に見てしまうことについては、別に責めるつもりもない。
そんな私を優しく見詰めながら、彼は言ったのだった。
「だからこそ、私にできないことができるあなたのことを想ってしまうのです」
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