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彼女らにもこの仕事を任せたいと思ってたからだ

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<ちょび髭の領主様>のところでの作業は、すごく順調に進んでた。ここの支社を任せる人も見付かった。

しかもここの人達は、上から命令されたことに対して従順に従い、しかも言われたこと以外はやらないというのが染みついてるから、私の言う通りにしかしないという特徴があった。

『これは思わぬ効用だ』

正直、そんな風にも思ってしまう。

でも実際に、そのおかげで、堆肥の回収と、畑への混ぜ込みは確実に指示したとおりにやってくれると思う。

そして、<ここの支社を任せる人>の一人は、リレだった。

少し大人っぽくなったリレが、私の前で書類をチェックしてる。

以前、クレフリータの伝手を使って連絡を取った時に、こっちに来てもらえるように手配しておいたんだ。

奴隷が一人でうろうろしたら危ないから、向こうでカリン商会の出入り業者になってた輸送業者に頼んで、あくまで『うちで使う奴隷として輸送』してもらうって形にしたけどね。

で、その際、こう言ったら何だけど、リレは、見た目のこともあって奴隷として売れる価値はほぼないから、途中で<横流し>されたりすることもなく、無事にここまで届けられたのだった。皮肉な話でも結果としてリレが無事にここまでこれたんだからそれでいい。もちろんその裏には、クレフリータによる<口利き>もあったけどね。

「久しぶり。ちょっと大きくなったかな?」

私の前に現れた彼女にそう話しかけると、リレは恐縮しきったように、

「分かりません…」

と応えてくれた。その相変わらずの様子に安心もしつつ、僅か半年程だけど確かに少し背が伸びてあどけないだけじゃなくなってたのが何だか嬉しかった。

「書類の読み方とかもちゃんと勉強しててくれたんだね」

手慣れた感じで書類の処理をしていく彼女の姿も頼もしい。

「はい、カリン様に言われたことはみんなしっかりと守ってます」

彼女がそう言う通り、私は、カリン商会の奴隷達に読み書きを教えてた。その上で、特に優秀な子には書類とかの見方も学んでもらった。いずれこういう機会があれば、彼女らにもこの仕事を任せたいと思ってたからだ。そしてその機会は巡ってきた。奴隷に対する悪感情が他のところよりもずっと少ないここなら、きっとできる筈だって思って。

実際、こっちで雇った社員達も、リレへの態度は他とは比べ物にならないほど<普通>だったと思う。彼女の顔の三分の二ほどを覆う痣には驚いたみたいだったけど、それも慣れればあまりあまり気にならないようになったみたいだったからね。

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