96 / 535
あんまり怖い顔してちゃ話がスムーズに進まないよ。リラックスリラックス
しおりを挟む
なんにしても取り敢えず関を抜けて、私達は<曖昧な地帯>へと足を踏み入れた。
外から見てた時にも思ったけど、何と言うか、独特の雰囲気がある気がする。荒んでると言うか、投げやりと言うか、それでいて開き直ってるような呑気さまでがごちゃ混ぜになった<町>だった。
なのに、クレフリータ(メロエリータ)は当たり前みたいにそこにいた人達に話し掛ける。
「ねえ、ここで<一番偉い人>って誰? どうすればその人に会える?」
あんまり平然としてるものだから、訊かれた方も、
「ああ、それならベルトマクタがそうなんじゃないかな。<町長>って呼ばれてるし」
昼間から酒を飲んで赤い顔をした、殆どホームレスみたいなナリの年齢不詳の男性に言われて、
「ありがと。これでツマミでも買って」
と銅貨を渡してた。手慣れてるなあ。
その様子を、ルイスベント(キラカレブレン卿)やバンクレンチも緊張した様子で見てた。懐に忍ばせた短剣に手を掛けてるのが分かる。
でも、戻ってきたクレフリータ(メロエリータ)がそんな二人に笑顔で言う。
「あんまり怖い顔してちゃ話がスムーズに進まないよ。リラックスリラックス」
ホント、どこまで肝が据わってるんだろう。
だけどそれも当然かも知れなかった。クレフリータ(メロエリータ)はそもそも軍事関係に影響力を持つ派閥に属してることもあって、ムッフクボルド共和国について以前からいろいろ探りを入れてて、実はここにも何度か来たことがあるんだって。
「念の為に情勢が変わってないか確認してみたけど、大丈夫みたいだね」
だって。こういうところは力を持つ人間がちょくちょく入れ替わったりするから、自分の影響力が及ぶ人間がまだ力を持ってるのかどうかを確認したらしい。それが、ベルトマクタっていう人物だった。
「昔から何人も間諜を送り込んで探りを入れてたのよ。なのに、ムッフクボルド共和国はコロコロ政治体制が変わるからその度にやり直す羽目になって、間諜が捕らえられて処刑されたこともある。それが<貸し>。こうして直接乗り込むことになった以上は、それを取り立ててやらなきゃ。
その機会を与えてくれたことを感謝するぞ、ノーラカリン(じゃじゃ馬カリン)」
はあ、そうですか……
クレフリータ(メロエリータ)が話を聞いた、ベルトマクタって人を訪ねて町の中を移動する。すると子供が何人も寄ってきて、花や野菜を売りつけてきた。正直言ってその辺で摘んできただけなんだろうなっていう花と、明らかに古くなって傷み始めた野菜だったけどね。
「相手にするな。構えば調子に乗るだけだ」
クレフリータ(メロエリータ)はそんな子供達には目もくれずに、冷淡に言い放ったのだった。
外から見てた時にも思ったけど、何と言うか、独特の雰囲気がある気がする。荒んでると言うか、投げやりと言うか、それでいて開き直ってるような呑気さまでがごちゃ混ぜになった<町>だった。
なのに、クレフリータ(メロエリータ)は当たり前みたいにそこにいた人達に話し掛ける。
「ねえ、ここで<一番偉い人>って誰? どうすればその人に会える?」
あんまり平然としてるものだから、訊かれた方も、
「ああ、それならベルトマクタがそうなんじゃないかな。<町長>って呼ばれてるし」
昼間から酒を飲んで赤い顔をした、殆どホームレスみたいなナリの年齢不詳の男性に言われて、
「ありがと。これでツマミでも買って」
と銅貨を渡してた。手慣れてるなあ。
その様子を、ルイスベント(キラカレブレン卿)やバンクレンチも緊張した様子で見てた。懐に忍ばせた短剣に手を掛けてるのが分かる。
でも、戻ってきたクレフリータ(メロエリータ)がそんな二人に笑顔で言う。
「あんまり怖い顔してちゃ話がスムーズに進まないよ。リラックスリラックス」
ホント、どこまで肝が据わってるんだろう。
だけどそれも当然かも知れなかった。クレフリータ(メロエリータ)はそもそも軍事関係に影響力を持つ派閥に属してることもあって、ムッフクボルド共和国について以前からいろいろ探りを入れてて、実はここにも何度か来たことがあるんだって。
「念の為に情勢が変わってないか確認してみたけど、大丈夫みたいだね」
だって。こういうところは力を持つ人間がちょくちょく入れ替わったりするから、自分の影響力が及ぶ人間がまだ力を持ってるのかどうかを確認したらしい。それが、ベルトマクタっていう人物だった。
「昔から何人も間諜を送り込んで探りを入れてたのよ。なのに、ムッフクボルド共和国はコロコロ政治体制が変わるからその度にやり直す羽目になって、間諜が捕らえられて処刑されたこともある。それが<貸し>。こうして直接乗り込むことになった以上は、それを取り立ててやらなきゃ。
その機会を与えてくれたことを感謝するぞ、ノーラカリン(じゃじゃ馬カリン)」
はあ、そうですか……
クレフリータ(メロエリータ)が話を聞いた、ベルトマクタって人を訪ねて町の中を移動する。すると子供が何人も寄ってきて、花や野菜を売りつけてきた。正直言ってその辺で摘んできただけなんだろうなっていう花と、明らかに古くなって傷み始めた野菜だったけどね。
「相手にするな。構えば調子に乗るだけだ」
クレフリータ(メロエリータ)はそんな子供達には目もくれずに、冷淡に言い放ったのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
72
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる