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良い人なんだけど、どうにも頭が固いかな……
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畑っていうのは、ある意味では<生き物>だ。同じようにやってみてもちょっとした条件の違いで全く違った結果が出ることもある。私が今やってる方法も、あくまでそれが適してる場合にのみ効果が出るものでしかない。だから作る作物とか気候とか土の質とかによってやり方を変える必要が出てくる。
肥沃な土だと逆に上手く育たない作物だってある。だから慎重に確かめながら試しながらやる必要があるんだ。一朝一夕に結果を求めちゃダメなんだ。
今回の件にしたって、慎重にまず一部の畑で試した上でやってみればここまでの被害は出なかった。そういうリスク管理も大事なんだって改めて教えてくれたことでもあった。
「…これでもし呪いが解けなかった時には、覚悟しろよ…!」
『また俺達を騙そうとしてるんじゃないのか』と私に食って掛かった体の大きな男性がそう凄むと、キラカレブレン卿も私を庇うように立ちながらギロリとその男性を睨むのが分かった。私はそんな卿の体にそっと触れつつ、いまだに不審の目を向けてくる男性に対し、
「私の<覚悟>は、そう遠くない未来に皆さんに豊作をもたらすことです。それ以外の方法で責任なんか取りません」
と、きっぱり答えさせてもらった。
そんなこんなで、正直、わだかまりも解けてすっきり解決はといかなかったけど、少なくともまず必要なことは伝えられたから良しとしよう。
だけどキラカレブレン卿はまだ腹の虫が収まらないらしくて、
「あのような無礼な態度を許していては示しが付きません…!」
ってボヤいてたけど。
そういうところも、支配階級の感覚なんだろうな。悪い人じゃないんだけど、どうしても力で抑え付けるっていうのが身に染みついてるんだろう。
ブラドフォンセス国王陛下の下へ行く準備をしながら、私は苦笑いを浮かべつつ彼に向かって言った。
「私は貴族じゃありませんよ。だからああいう態度に目くじら立てる必要は感じてません」
ってね。
「カリン殿……貴女は優しすぎる……そこに付け込まれなければいいのですが……」
私に向かっては取り繕うとしてるけどやっぱり憮然とした態度は隠し切れない様子で、キラカレブレン卿はそう言った。
『良い人なんだけど、どうにも頭が固いかな……』
とは思いつつ、声には出さずにただ「ご忠告、感謝します」とだけ答えておいた。
準備が終わって、ツフセマティアス卿の馬車の後を私達の馬車もついてブラドフォンセス国王陛下がいる王都へと向かう。ここからは三日かかる距離だ。
『自動車なら夕方には着けるのになあ…』
なんてことを思いながらも、私は、道の両脇に広がる畑の無残な有様に、
『まずはこれを何とかしなくちゃ…!』
と気持ちを引き締め直したのだった。
肥沃な土だと逆に上手く育たない作物だってある。だから慎重に確かめながら試しながらやる必要があるんだ。一朝一夕に結果を求めちゃダメなんだ。
今回の件にしたって、慎重にまず一部の畑で試した上でやってみればここまでの被害は出なかった。そういうリスク管理も大事なんだって改めて教えてくれたことでもあった。
「…これでもし呪いが解けなかった時には、覚悟しろよ…!」
『また俺達を騙そうとしてるんじゃないのか』と私に食って掛かった体の大きな男性がそう凄むと、キラカレブレン卿も私を庇うように立ちながらギロリとその男性を睨むのが分かった。私はそんな卿の体にそっと触れつつ、いまだに不審の目を向けてくる男性に対し、
「私の<覚悟>は、そう遠くない未来に皆さんに豊作をもたらすことです。それ以外の方法で責任なんか取りません」
と、きっぱり答えさせてもらった。
そんなこんなで、正直、わだかまりも解けてすっきり解決はといかなかったけど、少なくともまず必要なことは伝えられたから良しとしよう。
だけどキラカレブレン卿はまだ腹の虫が収まらないらしくて、
「あのような無礼な態度を許していては示しが付きません…!」
ってボヤいてたけど。
そういうところも、支配階級の感覚なんだろうな。悪い人じゃないんだけど、どうしても力で抑え付けるっていうのが身に染みついてるんだろう。
ブラドフォンセス国王陛下の下へ行く準備をしながら、私は苦笑いを浮かべつつ彼に向かって言った。
「私は貴族じゃありませんよ。だからああいう態度に目くじら立てる必要は感じてません」
ってね。
「カリン殿……貴女は優しすぎる……そこに付け込まれなければいいのですが……」
私に向かっては取り繕うとしてるけどやっぱり憮然とした態度は隠し切れない様子で、キラカレブレン卿はそう言った。
『良い人なんだけど、どうにも頭が固いかな……』
とは思いつつ、声には出さずにただ「ご忠告、感謝します」とだけ答えておいた。
準備が終わって、ツフセマティアス卿の馬車の後を私達の馬車もついてブラドフォンセス国王陛下がいる王都へと向かう。ここからは三日かかる距離だ。
『自動車なら夕方には着けるのになあ…』
なんてことを思いながらも、私は、道の両脇に広がる畑の無残な有様に、
『まずはこれを何とかしなくちゃ…!』
と気持ちを引き締め直したのだった。
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