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生まれきたる者
反発せずにはいられない
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『邪魔する奴は力で捻じ伏せればいい』
『ムカつく奴はぶちのめせばいい』
『正しさは力で押し通し証明するものだ』
おそらく、この世ではそう考えている者が多数派だろう。
しかし冷静に客観的に考えてみるとそれは結局、
『何を<力>とするか?』
という話になりはしないだろうか?
<大きな声>や<弱者という立場>や<消費者という立場>や<読者・視聴者という立場>といったものが<力>になると気付かれれば、当然、その力でもって他者を捻じ伏せようとする者が出てくるのは自明の理ではないのか?
ならば、
『大きな声や立場に力を持たせなければいい』
という者も出てくるだろうが、では、それはどうやって実現する? また<力>でもって捻じ伏せるのか? しかしそうやって捻じ伏せようとして完全に成功した例というのは、人間の歴史上においてあったのか?
独裁者が理想とする社会を作ろうとして力で抑えつけようとして、それが何百年も何千年も成功してきている事例はあるのか?
大国が自分達の価値観を力尽くで押し付けようとした結果が、テロの横行という事態を招いているのではないのか?
テロとまでは行かなくても、大きな声で自分達の主義主張を押し通そうとする者や、弱者という立場を振りかざす者達に対して反発する者がいるのはなぜだ?
力で捻じ伏せようとされれば反発せずにはいられないのも人間ではないのか?
大きな声や立場を力として利用しようとしている人間を不快と感じる者が多いという事実は何を物語っているのだろう?
力に頼る者を不快と反発しつつ、なおも自分は力で他人を捻じ伏せようとするのか?
その矛盾に目を向けようとは思わないのか?
それは、宿角健雅にも言えるだろう。
他人から力で抑え付けられようとすれば反発するにも拘らず、自分は他人を力尽くで抑え付けようとする。
自分がなぜ他人から疎まれるのか、その原因を考えようともしない。
正しいのは自分の方であり、自分のやり方が通じないとなればそれは相手が間違っているからだと考える。
実に幼稚で浅はかだと言わざるを得ない。
しかし、だからと言って、
『お前は幼稚な奴だ!』
と罵倒すれば、それこそ反発するだけだ。
罵倒されて嬉しい人間はそうはいない。たまに喜ぶ人間もいるかもしれないが、それだって相手によるだろう。
人間とはそういうもののはずだ。
蓮華はその事実と向き合う。
向き合うからこそ、今の自分に健雅を変える力がないことを思い知らされる。
さりとて、だからといって彼を、自分の手には負えないからと放って置けばいいともも考えない。それでは、宿角健剛を放逐し、健剛がどんな悪事を働いても、
『自分達には関係ない』
と見て見ぬフリをし続けてきた先祖達と同じになってしまうのだから。
『ムカつく奴はぶちのめせばいい』
『正しさは力で押し通し証明するものだ』
おそらく、この世ではそう考えている者が多数派だろう。
しかし冷静に客観的に考えてみるとそれは結局、
『何を<力>とするか?』
という話になりはしないだろうか?
<大きな声>や<弱者という立場>や<消費者という立場>や<読者・視聴者という立場>といったものが<力>になると気付かれれば、当然、その力でもって他者を捻じ伏せようとする者が出てくるのは自明の理ではないのか?
ならば、
『大きな声や立場に力を持たせなければいい』
という者も出てくるだろうが、では、それはどうやって実現する? また<力>でもって捻じ伏せるのか? しかしそうやって捻じ伏せようとして完全に成功した例というのは、人間の歴史上においてあったのか?
独裁者が理想とする社会を作ろうとして力で抑えつけようとして、それが何百年も何千年も成功してきている事例はあるのか?
大国が自分達の価値観を力尽くで押し付けようとした結果が、テロの横行という事態を招いているのではないのか?
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力で捻じ伏せようとされれば反発せずにはいられないのも人間ではないのか?
大きな声や立場を力として利用しようとしている人間を不快と感じる者が多いという事実は何を物語っているのだろう?
力に頼る者を不快と反発しつつ、なおも自分は力で他人を捻じ伏せようとするのか?
その矛盾に目を向けようとは思わないのか?
それは、宿角健雅にも言えるだろう。
他人から力で抑え付けられようとすれば反発するにも拘らず、自分は他人を力尽くで抑え付けようとする。
自分がなぜ他人から疎まれるのか、その原因を考えようともしない。
正しいのは自分の方であり、自分のやり方が通じないとなればそれは相手が間違っているからだと考える。
実に幼稚で浅はかだと言わざるを得ない。
しかし、だからと言って、
『お前は幼稚な奴だ!』
と罵倒すれば、それこそ反発するだけだ。
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と見て見ぬフリをし続けてきた先祖達と同じになってしまうのだから。
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