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焼肉焼肉焼肉~っ!!

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自分が楽をしたいがために詭弁に頼るというやり方を、蓮華は認めない。適切な対処をするための手間を惜しむ人間を、もえぎ園は必要としていない。

子供を手っ取り早く屈服させて自分の言いなりにさせようなどという人間を、子供達の担当にはしない。

それは逆に、

『子供の言いなりになってご機嫌を取ることで言うことを聞いてもらおうと考えるような人間は必要ない』

ということも含まれる。

灯安良てぃあらの好きにさせているのは、彼女を甘やかすことが目的じゃないということだ。現状では胎児の安全が最も優先されるので、食事については灯安良てぃあらの好きにさせているわけでもない。

「焼肉が食べた~い!」

その日、灯安良てぃあらは、昼前からそう言って阿礼あれいを困らせていた。

「そうは言っても、栄養のバランスとか考えなきゃいけないし……」

阿礼あれいがなだめながら言っても、

「焼肉焼肉焼肉~っ!!」

まるで幼児のように駄々をこねる。

それを聞いた調理担当の職員が、

「仕方ないですね……」

とこぼしつつも、メニューを考え、昼食に焼肉を取り入れた。それも、炭火で焼肉を焼くための専用のコンロまで用意して。

コンロ自体は、たまに<焼肉パーティ>のようなことをするために元々備えていたものなのでどうということもなかったが。

これだけ聞くと灯安良てぃあらの言いなりになっているようにも思えるかもしれないものの、実際には、部分的に要望を聞き入れることで灯安良てぃあらの側の譲歩を引き出すことが目的だった。

「レタスで肉を包んで食べると美味しいよ」

阿礼あれいがそう言うと、

「え~?」

不満そうに唇を尖らせる灯安良てぃあらに、彼は、

「お肉ばっかりじゃ僕達の赤ちゃんが脂まみれになっちゃうよ」

と返す。

すると灯安良てぃあらも、

「む~……」

などと言いつつ渋々従った。

あまり野菜を食べたがらない彼女に野菜を食べてもらうための工夫だった。

「あ…でも美味しい……」

阿礼あれいがいている前だったから仕方なく焼肉のレタス巻きを口にした灯安良てぃあらが驚いたように声を漏らした。

妊娠したことで味覚が変わったのも影響したのかもしれない。

灯安良てぃあら阿礼あれいの言うことならある程度は聞いてくれることも利用しつつ、敢えて彼女の要望を聞き入れながら結果として譲歩を引き出した形である。

確かに些細なことかもしれない。しかし<じつ>を引き出しきちんと意味のある結果に導くためには必要なことでもあった。

そういう努力を絶えることなく続ける。

それが子供達を支えているのである。

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