生まれきたる者 ～要らない赤ちゃん引き取ります～

学び

学び

自分の勝手で子供をこの世に送り出しておきながら思い通りに育たないからと泣き言を並べる親のなんと多いことか。

いや、むしろそうやって自分の思い通りにならないからと泣き言を並べるような幼稚な人間性だから、子供もそれを見倣って自分の思い通りにならないとキレるような人間に育つのだろう。

これまで宿角蓮華すくすみれんげはそういう人間を、そういう親を、あまりと言えばあまりにも見てきた。

自分の思い通りになるのが当たり前だと思っているから子供を虐待する。

自分の思い通りになるのが当たり前だと思っているからイジメをする。

自分の思い通りになるのが当たり前だと思っているから職場でパワハラをする。

自分の思い通りになるのが当たり前だと思っているから他人に難癖をつける。

自分の思い通りになるのが当たり前だと思っているから他人に横柄な態度を取る。

自分の思い通りになるのが当たり前だと思っているからモンスターペアレントになる。

そして、自分の思い通りになるのが当たり前だと思っているから自分を省みることがない。

もえぎ園では、園児達は皆、そうではないことを学ぶ。

元より、＜親ガチャ＞でハズレを引いた子供達なのだ。この世は自分の思い通りになどならないことを彼ら彼女らは生まれた時から知っている。必要なのは、その事実といかに向き合っていくか、どう付き合っていくかを学ぶことだろう。

ストレスを掛けた方が強くなれるというであれば、ロクでもない親の下で育った子供はそれこそ無敵のメンタルを獲得しているはずである。

殴れば痛みを教えられるのであれば、親から虐待を受け、日常的に暴力を受けてきた子供は＜殴られる痛み＞を知り、心優しい人間に育つはずである。

だが実際には、その逆であることが多い。

自分達が正しいと思っていること、常識だと思っていること、そうであってほしいと信じていることが実は必ずしも適切ではないことを疑う勇気を持たない大人が多いことが、結局は不幸を生んでいるのかもしれない。

もえぎ園では、それを学ぶ。

＜自分を疑う勇気＞

を学ぶ。それによって、自身の苦しい境遇を理由に他人を傷付けようとしたり、自分を蔑ろにした世の中に対して復讐するのが正しいことだと思ってしまいそうになるのを＜疑う＞ことができるようになるのだ。

『自分はこんなに苦しめられたんだから、苦しめた奴らに復讐する権利がある！』

と考えてしまいそうになることを＜疑う＞ことができる。

『親と子の結びつきは絶対であり、子は親の所有物であり、親が自己実現を果たすための道具である』

という思い込みを＜疑う＞ことができる。

子供にそれを教えることができるのもまた、＜大人＞なのだ。