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もえぎ園
話を聞く
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「この可愛いのがいつか<暴れん棒>になって女の子泣かせたりするのかしらね。ま、そんなこと、私がさせないけど」
お尻拭きで可愛らしい男の子のものを拭きながら宿角蓮華がそう言うと、千堂京香がその意味に気付いてぱあっと顔が赤くなった。
「園長、そういうのもセクハラになりますよ。気を付けた方がいいと思います」
こほんと咳払いをして京香がそう言うと、蓮華は苦笑いを浮かべながら、
「ああ、そうね。気を付けなきゃね」
と応えた。セクハラとかに対して厳しくなっていることも、そんな風には言いながらも蓮華はおおむね歓迎していた。今までが考えなし過ぎただけだとしか思っていない。また、男性から女性へのそれだけでなく、女性から男性へのそれもあって当然だと思っていた。
「セクハラについて厳しくなったことで文句言ってるのもいるみたいだけど、正直言って、それで文句言う奴はうちには要らないわ。男女関係なくね。だからあんたの指摘は正しい。気付いたことはちゃんと言いなさい。話は聞くから。聞いた上でそれに整合性があるのかないのか、きちんと検討するから」
それが、蓮華だけでなく、この<もえぎ園>そのものの方針だった。
『人の話はとにかく聞く』ということだ。そして、聞いた上で判断する。それは、大人として子供達に示すべき姿だと考えているからである。
子供とて、自分の言うことのすべてが通ると思っている訳ではない。通ってほしいとは思っていても、無理なこともあるというのは子供心にも理解しているのだ。なのに、話も聞かないで最初から結論ありきで『ダメ』とか言われるから感情的にもなる。
これは、それなりにいい歳をした大人でも心当たりがある筈だ。提案が通るとは思っていなくても、話も聞かずに頭ごなしに否定されれば腹も立つだろう。それと同じなのだ。話を聞いた上で、何故駄目なのかを説明してもらえれば、納得はできなくても理解できることもあるのではないか。
蓮華は、子供達に対して大人としてそれをきちんと態度で示そうとしているだけである。それがたとえ相手が赤ん坊であってもだ。
だから、<もえぎ園>の出身者は、相手の話にきちんと耳を傾ける者が多い。蓮華をはじめとした職員達の振る舞いそのものを真似しているからである。それを真似すればお互いに納得のいく話もできる可能性が高まると、自らの経験で知っているのだ。
また、相手の話に耳を傾けるという姿勢を幼いころから学んでいるので、いわゆる<コミュ障>と呼ばれる者も少ないのも特徴であった。
お尻拭きで可愛らしい男の子のものを拭きながら宿角蓮華がそう言うと、千堂京香がその意味に気付いてぱあっと顔が赤くなった。
「園長、そういうのもセクハラになりますよ。気を付けた方がいいと思います」
こほんと咳払いをして京香がそう言うと、蓮華は苦笑いを浮かべながら、
「ああ、そうね。気を付けなきゃね」
と応えた。セクハラとかに対して厳しくなっていることも、そんな風には言いながらも蓮華はおおむね歓迎していた。今までが考えなし過ぎただけだとしか思っていない。また、男性から女性へのそれだけでなく、女性から男性へのそれもあって当然だと思っていた。
「セクハラについて厳しくなったことで文句言ってるのもいるみたいだけど、正直言って、それで文句言う奴はうちには要らないわ。男女関係なくね。だからあんたの指摘は正しい。気付いたことはちゃんと言いなさい。話は聞くから。聞いた上でそれに整合性があるのかないのか、きちんと検討するから」
それが、蓮華だけでなく、この<もえぎ園>そのものの方針だった。
『人の話はとにかく聞く』ということだ。そして、聞いた上で判断する。それは、大人として子供達に示すべき姿だと考えているからである。
子供とて、自分の言うことのすべてが通ると思っている訳ではない。通ってほしいとは思っていても、無理なこともあるというのは子供心にも理解しているのだ。なのに、話も聞かないで最初から結論ありきで『ダメ』とか言われるから感情的にもなる。
これは、それなりにいい歳をした大人でも心当たりがある筈だ。提案が通るとは思っていなくても、話も聞かずに頭ごなしに否定されれば腹も立つだろう。それと同じなのだ。話を聞いた上で、何故駄目なのかを説明してもらえれば、納得はできなくても理解できることもあるのではないか。
蓮華は、子供達に対して大人としてそれをきちんと態度で示そうとしているだけである。それがたとえ相手が赤ん坊であってもだ。
だから、<もえぎ園>の出身者は、相手の話にきちんと耳を傾ける者が多い。蓮華をはじめとした職員達の振る舞いそのものを真似しているからである。それを真似すればお互いに納得のいく話もできる可能性が高まると、自らの経験で知っているのだ。
また、相手の話に耳を傾けるという姿勢を幼いころから学んでいるので、いわゆる<コミュ障>と呼ばれる者も少ないのも特徴であった。
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