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出逢い
総合研究施設アンデルセン、強攻試験モードに移行する
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こうして<強攻試験モード>に移行した<総合研究施設アンデルセン>から、錬義に連絡が届いた。
「錬義。エレクシアが目覚めた。彼女直々に<強攻試験>を行うそうだ。さすがに竜女帝の血族ともなれば、早々に評価を下さないといけないという判断だ」
アンデルセンのその言葉に、錬義の表情が一瞬険しくなるものの、
「分かった。エレクシア様の意向なら仕方ない。僕も協力します。もちろん、斬竜の味方としてね」
そう応えた。そんな彼に、
「錬義……」
ミネルバの声はどこか心配げにも聞こえる。けれど、彼は、
「ああ、これは僕が斬竜を錬是に連れてくるのを決めた時から覚悟してたことだ。それに、エレクシア様と手合わせできるとか、こんな機会はもうないかもしれないしね」
拳を握り締め、少し緊張した様子ながら笑みを浮かべていた。でも、その前に、
「その前に、斬竜をお風呂に入れてあげたいんだけど、いいかな? エレクシア様の前に出るんだから、やっぱり綺麗にしてあげたいし」
と口にする。それに対してアンデルセンは、
「ああ、是非そうしてあげてくれ。斬竜の晴れ姿でもあるからな」
淡々と返した。そして錬義は、斬竜に対して、
「ラーメン食べようか。それと、水浴びしよう」
そう告げる。
<ラーメン>という言葉についてはあの<美味いもの>のことであるとは斬竜も理解していて、
「!!」
嬉しそうな表情になる。それから最初のコテージに戻って、カップラーメンを三個、用意した。それにカセットコンロで沸かした湯を注ぎ、
「ちょっと待っててね。すぐにできるから」
「? ……?」
<痛い水>を入れただけでまた見えなくした錬義に困ったような表情を見せた斬竜を、彼は優しく見つめ、スッと腰を浮かせて彼女に顔を寄せ、唇を重ねてみせた。
「!?」
錬義のその突然の振る舞いに斬竜も驚いた様子だったものの、決して嫌がってはいなかった。なぜそんなことをしたのか意図が掴めず、戸惑っていただけである。
けれど、自分を見つめてくる彼に、今度は斬竜の方から唇を寄せて重ね、さらに舌で彼の唇を舐め始めた。どうやらそういう形の<挨拶>だと思ったらしい。しかも彼女はそれを気に入ったようだ。
だから錬義の方も負けじと舌を出し、彼女の舌を迎え入れた。そして互いの舌を舐め合い、絡ませ、味わう。
が、不意に錬義の方がスッと体を下げて、距離を取る。そんな彼に斬竜は少し不満そうな表情をしてみせた。けれども、
「ラーメン、できたからね」
そう言ってカップラーメンの蓋を開け、水を灌ぐ。
瞬間、
「!!」
斬竜も嬉しそうに笑顔になったのだった。
「錬義。エレクシアが目覚めた。彼女直々に<強攻試験>を行うそうだ。さすがに竜女帝の血族ともなれば、早々に評価を下さないといけないという判断だ」
アンデルセンのその言葉に、錬義の表情が一瞬険しくなるものの、
「分かった。エレクシア様の意向なら仕方ない。僕も協力します。もちろん、斬竜の味方としてね」
そう応えた。そんな彼に、
「錬義……」
ミネルバの声はどこか心配げにも聞こえる。けれど、彼は、
「ああ、これは僕が斬竜を錬是に連れてくるのを決めた時から覚悟してたことだ。それに、エレクシア様と手合わせできるとか、こんな機会はもうないかもしれないしね」
拳を握り締め、少し緊張した様子ながら笑みを浮かべていた。でも、その前に、
「その前に、斬竜をお風呂に入れてあげたいんだけど、いいかな? エレクシア様の前に出るんだから、やっぱり綺麗にしてあげたいし」
と口にする。それに対してアンデルセンは、
「ああ、是非そうしてあげてくれ。斬竜の晴れ姿でもあるからな」
淡々と返した。そして錬義は、斬竜に対して、
「ラーメン食べようか。それと、水浴びしよう」
そう告げる。
<ラーメン>という言葉についてはあの<美味いもの>のことであるとは斬竜も理解していて、
「!!」
嬉しそうな表情になる。それから最初のコテージに戻って、カップラーメンを三個、用意した。それにカセットコンロで沸かした湯を注ぎ、
「ちょっと待っててね。すぐにできるから」
「? ……?」
<痛い水>を入れただけでまた見えなくした錬義に困ったような表情を見せた斬竜を、彼は優しく見つめ、スッと腰を浮かせて彼女に顔を寄せ、唇を重ねてみせた。
「!?」
錬義のその突然の振る舞いに斬竜も驚いた様子だったものの、決して嫌がってはいなかった。なぜそんなことをしたのか意図が掴めず、戸惑っていただけである。
けれど、自分を見つめてくる彼に、今度は斬竜の方から唇を寄せて重ね、さらに舌で彼の唇を舐め始めた。どうやらそういう形の<挨拶>だと思ったらしい。しかも彼女はそれを気に入ったようだ。
だから錬義の方も負けじと舌を出し、彼女の舌を迎え入れた。そして互いの舌を舐め合い、絡ませ、味わう。
が、不意に錬義の方がスッと体を下げて、距離を取る。そんな彼に斬竜は少し不満そうな表情をしてみせた。けれども、
「ラーメン、できたからね」
そう言ってカップラーメンの蓋を開け、水を灌ぐ。
瞬間、
「!!」
斬竜も嬉しそうに笑顔になったのだった。
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