34 / 96
出逢い
錬義、自分の気持ちを考察する
しおりを挟む
サススクロファの群れは、川沿いを、草を食みながらゆっくりと移動していた。十三頭のうちの四頭は幼体のようだ。それを守るように成体のサススクロファが取り囲んでいる。この辺りはゾウのようでもある。
その様子を窺っていた錬義の端末に着信が。それを確認すると、画面に斬竜の姿。穴から出てきたのだ。
すると今度は、陸イグアナ竜の巣に忍び寄っていく。また陸イグアナ竜を狙っているようだ。しかし、一度目は失敗。すんでのところで躱されて穴の中に逃げられてしまった。
けれど彼女は諦めずに再挑戦。今度は捕らえることに成功し、その場で食らい付く。
それにしても大変な食欲である。ただ、これについては、錬義も心当たりがあった。実は彼も、食べようと思えばそれこそ際限なく食べられてしまうのである。途轍もない身体能力を維持するには途轍もないカロリーが必要ということなのだろう。あまり動き回らないようにすることであまり食べずに済んでいるものの、激しく動けば当然、それだけ食欲も湧いてきてしまう。
斬竜も同じということかもしれない。
『凶竜の姫様ではあるけど、竜女帝の娘なら、彼女も恐竜人間ってことになるのかもしれないな……』
そんなことも思う。
『三人目の恐竜人間ってことか……』
そんな風に想いを馳せる。
<恐竜人間>についてはまた後ほど触れることもあるだろうが、今はとにかく斬竜の姿を追う。逆にサススクロファの方はドローンに記録を任せた。
斬竜への想いが募っているのだ。
彼にとっては初めての経験だった。
錬是に戻れば彼を慕ってくれる女性もいるものの、彼の頭の中には鵺竜や亜竜への関心しかなく、その女性達のこともただの<友人>としか思えなかった。健康な男ではあるものの、そういう部分ではまだ未成熟だったのかもしれない。
けれど、斬竜と出逢ったことで、ようやく彼にも異性への関心が芽生えたのだろう。
いわば<初恋>ということか。
「女の子を好きになるっていうのは、こんな気分なんだな……」
陸イグアナ竜を貪る様子を双眼鏡で見ながら、錬義はそう呟いた。そして、
「そっか。マヒルの奴もこんな気持ちだったんだ……」
とも呟く。が、その時、
「あ……!」
錬義が声を上げた。彼の視界の隅に捉えられたものに視線を向けると、そこにいたのは、ティランタスだったのだ。先ほどエレファントスを狩ったのとは別の個体だった。それが斬竜に狙いを付けていたのである。
もっとも、斬竜の方もすでにそれを察していたのだが。
その様子を窺っていた錬義の端末に着信が。それを確認すると、画面に斬竜の姿。穴から出てきたのだ。
すると今度は、陸イグアナ竜の巣に忍び寄っていく。また陸イグアナ竜を狙っているようだ。しかし、一度目は失敗。すんでのところで躱されて穴の中に逃げられてしまった。
けれど彼女は諦めずに再挑戦。今度は捕らえることに成功し、その場で食らい付く。
それにしても大変な食欲である。ただ、これについては、錬義も心当たりがあった。実は彼も、食べようと思えばそれこそ際限なく食べられてしまうのである。途轍もない身体能力を維持するには途轍もないカロリーが必要ということなのだろう。あまり動き回らないようにすることであまり食べずに済んでいるものの、激しく動けば当然、それだけ食欲も湧いてきてしまう。
斬竜も同じということかもしれない。
『凶竜の姫様ではあるけど、竜女帝の娘なら、彼女も恐竜人間ってことになるのかもしれないな……』
そんなことも思う。
『三人目の恐竜人間ってことか……』
そんな風に想いを馳せる。
<恐竜人間>についてはまた後ほど触れることもあるだろうが、今はとにかく斬竜の姿を追う。逆にサススクロファの方はドローンに記録を任せた。
斬竜への想いが募っているのだ。
彼にとっては初めての経験だった。
錬是に戻れば彼を慕ってくれる女性もいるものの、彼の頭の中には鵺竜や亜竜への関心しかなく、その女性達のこともただの<友人>としか思えなかった。健康な男ではあるものの、そういう部分ではまだ未成熟だったのかもしれない。
けれど、斬竜と出逢ったことで、ようやく彼にも異性への関心が芽生えたのだろう。
いわば<初恋>ということか。
「女の子を好きになるっていうのは、こんな気分なんだな……」
陸イグアナ竜を貪る様子を双眼鏡で見ながら、錬義はそう呟いた。そして、
「そっか。マヒルの奴もこんな気持ちだったんだ……」
とも呟く。が、その時、
「あ……!」
錬義が声を上げた。彼の視界の隅に捉えられたものに視線を向けると、そこにいたのは、ティランタスだったのだ。先ほどエレファントスを狩ったのとは別の個体だった。それが斬竜に狙いを付けていたのである。
もっとも、斬竜の方もすでにそれを察していたのだが。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
これって、パラレってるの?
kiyin
SF
一人の女子高校生が朝ベットの上で起き掛けに謎のレバーを発見し、不思議な「ビジョン」を見る。
いくつかの「ビジョン」によって様々な「人生」を疑似体験することになる。
人生の「価値」って何?そもそも人生に「価値」は必要なの?
少女が行きついた最後のビジョンは「虚無」の世界だった。
この話はハッピーエンドなの?バッドエンドなの?
それは読み手のあなたが決めてください。
女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。
宇宙戦争中~モブの機動人型戦闘機乗りですが幸運スキルで生き残ってます~
朋 美緒(とも みお)
SF
転生物でよくあるファンタジー転生、僕はそれを選ばなかった
「<ガ〇ダ〇>や<〇クロ〇>みたいな大形(おおがた)の人型ロボットを操る戦士になりたい、でも目立ちたくないので下っ端で・・・でもすぐ死にたくないのでよろしく、可愛い彼女も欲しいし~金持ちで不自由なく暮らしたい」
男女の絡みも少しあり
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
私の召喚獣が、どう考えてもファンタジーじゃないんですけど? 〜もふもふ? いいえ……カッチカチです!〜
空クジラ
SF
愛犬の死をキッカケに、最新VRMMOをはじめた女子高生 犬飼 鈴 (いぬかい すず)は、ゲーム内でも最弱お荷物と名高い不遇職『召喚士』を選んでしまった。
右も左も分からぬまま、始まるチュートリアル……だが戦いの最中、召喚スキルを使った鈴に奇跡が起こる。
ご主人様のピンチに、死んだはずの愛犬コタロウが召喚されたのだ!
「この声? まさかコタロウ! ……なの?」
「ワン」
召喚された愛犬は、明らかにファンタジーをぶっちぎる姿に変わり果てていた。
これはどこからどう見ても犬ではないが、ご主人様を守るために転生した犬(?)と、お荷物職業とバカにされながらも、いつの間にか世界を救っていた主人公との、愛と笑いとツッコミの……ほのぼの物語である。
注意:この物語にモフモフ要素はありません。カッチカチ要素満載です! 口に物を入れながらお読みにならないよう、ご注意ください。
この小説は『小説家になろう』『カクヨム』にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる