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第三幕

私はさ、<子供を育てる>ってのは、<自分が育てた子供を社会に送り出すこと>だと思ってる。社会を構成する人材を育てることでもあるんだ

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『<親>はさ。少なくとも年齢的にいえば<大人>のはずなんだ。子供よりずっと長く生きて、人生経験も積んできてるはずだなんだ。

それでどうして、子供が人生に躓いた時に、<人生の先達>として力になってあげられないんだろ。

子供が直面してる問題について、どうして一緒に考えて問題解決のための道標を示してあげられないんだろ。『自分は教えようとした! でも子供がその通りにしないだけだ!!』って言うかもしれないけど、それ、仕事で同じこと言ったら、上司に何て言われるかなあ? 『自分はちゃんとプレゼンした! でも先方がそれを評価してくれなかっただけだ!!』とか言ったら、『なに子供みたいなこと言ってんだ!?』とか言われたりすると思うんだ。

で、こう言うと、『<仕事>と<育児>を一緒にするな!』なんて言ったりするんだろうなあ。

でも私は逆に訊きたいよ。「どうして<仕事>と<育児>をまったくの別物って考えるわけ?」ってさ。

だってそうでしょ? 仕事だって育児だって、<人間相手>にすることじゃん。基本的には。まあ、中には動物が相手だったりする仕事もあるだろうけど、でもそれだって、<その動物を人間にとって何らかの役に立つようにする仕事>だよね? 結局は人間のためにすることだよね? <自分以外の誰かとの関わり合い>じゃん。相手との信頼関係を構築し、それによって双方に利になることを目指すのが仕事ってもののはずなんだ。

子供を育てるのだってそういうことじゃん。

で、こう言うと、『子供からは金なんか貰わねーし!』みたいに言うかもだけど、何も相手から直接お金を貰う仕事ばっかりじゃないよ。公立の学校の教師とかは、生徒から直接お金貰ってるわけじゃないじゃん。公務員なんだから。税金から給料支払われるんだし。それこそ、<子供もいない人からも徴収した税金>からね。

それに、子供を育てて自分の老後の面倒を見てもらおうとか思ってるんなら、それ、直接お金を貰う形じゃなくても、何らかの<リターン>を得るためにやってるってことになるじゃん?

だとしたら仕事と何が違うの?って話。

私はさ、<子供を育てる>ってのは、

<自分が育てた子供を社会に送り出すこと>

だと思ってる。社会を構成する人材を育てることでもあるんだ。それだけ社会に影響を与える<務め>じゃん。それをどうして<仕事>より軽く考えられるのか、分かんない。

まっとうな責任感を持ってる人ならそんな考え方しないと思うんだよね。

たとえ、<仕事>と<育児>は別のものだと見做すとしても、『<育児>が<仕事>より軽いもの』だなんて、<社会に与える影響>を考えたら、とても言えないよね? 『<仕事>と<育児>、どっちが重要?』みたいなことを言うつもりはないけど、もしそう訊かれたら『どっちも重要』って答えるけど、少なくとも育児を軽んじてる人を信用できるとは思わないな』



そうだね。<社会を構成する人材を育て送り出すこと>が、疎かにできるはずがないと僕も思う。誰かに丸投げして、『自分には関係ない』と言えるようなことじゃないと僕も思ってるよ。

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