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第三幕

親を当てにして寄生してるような子供を見捨てるってことは、誰かに寄生しなきゃ生きられないような子供を見捨てるってことは、その尻拭いを赤の他人に

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『世の中にはさ。自分の子供が自分の思ってる通りに育たなかったからって見限ったり縁を切ろうとしたりする親がいるらしいけど、私自身が親になってみてつくづく実感したよ。

子供が現実と向き合えない人間に育つのは、<現実と向き合えない親の姿>を見て育ったからなんだって。『自分の子供が自分の思ってる通りに育たなかったからって見限ったり縁を切ろうとしたりする』なんて、『子供をこの世に送り出したのは、何をどう言い訳したって<親の勝手>、子供本人に承諾をもらって生んだわけじゃない。だから親に<子供を育てる義務>があるだけで、その義務を果たしただけで子供に<育ててやった恩>を売れると思うのは筋違い』っていう現実を見ない、見たくないからこそできることだよね?

だってそうじゃん。子供に承諾をもらったわけでもなく自分が勝手にこの世に送り出しておいてさ、それで自分の思い通りにならないから捨てようなんて、ペットを捨てる人の考えと同じじゃん。

しかも、親を当てにして寄生してるような子供を見捨てるってことは、誰かに寄生しなきゃ生きられないような子供を見捨てるってことは、その尻拭いを赤の他人に押し付けようとしてるってことだよ?

なんでその現実と向き合おうとしないの?

自分の子供が世の中を舐め切って現実を見ようとしない人間に育ったんなら、それは、現実を見ようとしない親の姿を見倣ったからだって、なんで思わないの?

私の子供達はね、もう赤ちゃんの時から、親である私の一挙手一投足を、ものすごくよく見てたよ。見られてるのを実感してた。

子供が何でいちいち教えなくても人間としての振る舞いを身に付けていくのか、考えたことないの? それ、誰の真似をしてるのかとか、考えたことないの?

ほぼほぼ百パーセント、身近な人間の姿を見て学んで真似してるんだって思わない?

そして、子供が、一番、目にしてる<身近な人間>って、誰? 普通は親じゃないの?

その事実を、現実を、見ようとしない親の姿を見てて、子供がどうやって、<見たくない現実と向き合える人間>に育つと思えんの?

ひょっとして、親以外の誰かがいつの間にか教えてくれるとでも思ってんの?

そんなの、それこそ、『異世界に転生したらすべてが上手くいく』とか考えるくらいにいい加減で世の中を舐め切った話じゃないの?

私はね、自分が親だからこそ、親である自分自身にいつだって言い聞かせてるんだ。『あんたは、自分が生んだ子供を誰かが上手く育ててくれると期待してんの?』『あんたは、自分が生んだ子供のやらかしたことの後始末を、どこかの他人にやらせんの?』『誰かが上手く育ててくれるとか、後始末をしてくれるとか、そんな考えで子供と接してて、それを子供が真似するとは思えないの?』ってね』

アオは、悠里ユーリ達の前で、何度もそう語ってみせる。だからこそ、悠里達は自分が望まれて生まれてきたことを知る。

ただ、ここで気を付けないといけないのは、押し付けがましくならないようにということだろうね。

それを悟るためには、いずれにしても相手をよく見ないといけないけれど。

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