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第三幕

自分の復讐の相手だけじゃなく、それとは直接関係のない人まで、自分の復讐の邪魔になるとなったりしたら傷付けても構わないみたいに思っちゃうのが

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『フィクションにおいてさ、<復讐劇>は定番のシチュエーションだよね。

だけど、エンディミオンの件を考えても分かるけど、私は、典型的な、<フィクションの中でしか成立しないもの>の上位にランクインするものの一つが<復讐>だと思ってる。

私自身が両親や兄に対して復讐したいという気持ちがあるからこその実感だよ。

エンディミオンを見てても分かるじゃん。<復讐>って上手くいくはずがないんだよ。リアルでは。

なにしろ、『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』なんて言葉もあるくらい、復讐を実行に移すくらい正気を失ってる人は、冷静に厳密に復讐のターゲットを絞るってことができないしさ。

エンディミオンのことを抜きにしても、私自身がね、思うんだよ。

両親や兄に対して復讐しようとして、それをもし第三者に邪魔されたりしたら、私はたぶん、その第三者に対しても攻撃を加えようとすると思う。

両親や兄が雇った弁護士とかね。

それでもう、正当性がなくなっちゃう。自分の復讐の相手だけじゃなく、それとは直接関係のない人まで、自分の復讐の邪魔になるとなったりしたら傷付けても構わないみたいに思っちゃうのが<復讐>ってもんでしょ?

ましてや、万が一人違いで完全に関係ない人を巻き込んだりとかしたら、どうすんの? 実際にそういう事件もあったよね?

復讐って言うか<仕返し>の相手を間違えて殺しちゃったっていう事件とか。

あと、<仇の家族>を殺しちゃったりとかいう事件もあったよね?

よく、『復讐は何も生まない!』とか、『あの人は復讐なんて望んでないはずだ!!』とかいう形で<復讐者>を説得しようとするシーンがあったりするけど、まあそれも、効果があれば『結果オーライ』でいいとは思うけど、正直、個人的には説得力がある気はしないし、私自身はそんなこと言われたって納得できる気がしない。復讐を思いとどまれる気がしない。

復讐を実行するほど正気を失ってる時点で、その理屈を受け入れられる段階にないと思うんだよ。そういうのはもう復讐者自身が、何度も何度も自分で考えて、その上で、『無理! 抑え切れない!!』ってなってると思うんだ。

それにそもそも、『復讐という行為を否定する根拠としてはあまりにも薄い軽い合理性がない』とも思うし。

ただその一方で、復讐という行為を実行に移そうとすれば、まず間違いなく巻き込まれる人が出る。フィクションみたいに、完璧に対象だけを殺すとか、そんな上手くいくはずがない。『自分は絶対に失敗しない!!』とか思うのもいるかもだけど、それ、『自分は酒を飲んで自動車を運転しても絶対に事故は起こさない!!』みたいなこと言うのと変わらないくらい、何の根拠もない妄言だからね?』

そうだね。僕もそう思うし、<復讐>がなにをもたらしてきたかを、実際にこの目で見てきた。

僕達吸血鬼も、人間から恨まれ恐れられ、吸血鬼だというだけで迫害されてもきた。

だけどそれを理由に人間に対して<復讐>することは、やめたんだ。

<新たな犠牲者>を出さないためにね。

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