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第三幕
『私はいくつものボツを出しながらも頑張って仕事してる』のと、『ミハエルは資産運用による不労所得で私の数倍稼いでる』のと、どっちが
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『実際、うちは、資産運用で不労所得を得てるミハエルが八割くらい悠里や安和や椿の相手をしてくれてるから、私の方ははっきり言って<手抜き育児>だよね。
だから、『仕事と育児のどっちが大変?』みたいな話は最初から当てはまらないんだよ。
だいたい、それを言い出したら、『私はいくつものボツを出しながらも頑張って仕事してる』のと、『ミハエルは資産運用による不労所得で私の数倍稼いでる』のと、どっちが偉い?みたいな話のような気がするし、『大変だから偉い』ワケじゃないでしょ?
私にできないことをやってのけるミハエルのことを私は尊敬してるし、ミハエルも、自分にできないことをやってる私のことはちゃんと評価してくれてるよ。
そう、『どっちが大変か』とか、『どっちが偉いか』なんて、私達にとってはどうでもいいんだ。
だから私の書く作品には、『どっちが偉い』という結論は基本的に出てこない。誰かを持ち上げるようにすれば、そのキャラに対して自己投影してる人にはウケるかもだけど、私はそれはしたくない。
まあ、だから人気が出ないんだろうけどさ。
多数派…というのはちょっと違うかな。たぶん、<声の大きい人達>と言った方が近いんだろうな。そういう人達に迎合した方が人気は出るのかもしれない。でもさ、私は、<創作>はしても、<自分の根幹部分の切り売り>はしたくないんだ。それをしたら私は、私でいられなくなる。ただの、<商品を作り出す機械>になってしまう気がする。
出版社からすれば<作家>なんて、<使い捨ての道具>でしかないだろうから作者の、<人として譲れないもの>なんて知ったこっちゃないんだろうけど、でもさ、最初の子を妊娠中にあんまりにも辛くて頭が動かなくて<ウケの良さそうな要素>をただ突っ込んで書いたら、ファンの人から、『ゴーストライターが書いたんですか!?』『先生の良さがまったくなくなってました、残念です!』みたいな意見がドッと届いたんだって。
だからさ、私みたいな変な作家でも、一部の人達には需要があるっていうのが分かる。
私は、<読者の声>は聞かないけど、だからって私の作品みたいのを好きだと言ってくれる人達を見捨てて、<一般ウケ>に走りたいとも思わないんだ。
ただ同時に、<私が書きたいと思うもの><私に書けるもの>が読者と噛み合わなくなってきたら、それはもう諦めるしかないとは思ってるけどさ。『私の作品を面白いと思わない読者が悪い!』とは言いたくないんだよ。
それと同時に、私は、『だから男は!』『だから女は!』って言う人達に迎合する気もないんだ。
だって、それを言ったら、ミハエルをこの世に送り出してくれたお父さんとお母さんを貶めることになるからね。ミハエルのご両親は吸血鬼だけどさ』
そう言って、アオは、僕の両親も敬ってくれる。
それができる彼女は素晴らしい女性だと改めて思うよ。
だから、『仕事と育児のどっちが大変?』みたいな話は最初から当てはまらないんだよ。
だいたい、それを言い出したら、『私はいくつものボツを出しながらも頑張って仕事してる』のと、『ミハエルは資産運用による不労所得で私の数倍稼いでる』のと、どっちが偉い?みたいな話のような気がするし、『大変だから偉い』ワケじゃないでしょ?
私にできないことをやってのけるミハエルのことを私は尊敬してるし、ミハエルも、自分にできないことをやってる私のことはちゃんと評価してくれてるよ。
そう、『どっちが大変か』とか、『どっちが偉いか』なんて、私達にとってはどうでもいいんだ。
だから私の書く作品には、『どっちが偉い』という結論は基本的に出てこない。誰かを持ち上げるようにすれば、そのキャラに対して自己投影してる人にはウケるかもだけど、私はそれはしたくない。
まあ、だから人気が出ないんだろうけどさ。
多数派…というのはちょっと違うかな。たぶん、<声の大きい人達>と言った方が近いんだろうな。そういう人達に迎合した方が人気は出るのかもしれない。でもさ、私は、<創作>はしても、<自分の根幹部分の切り売り>はしたくないんだ。それをしたら私は、私でいられなくなる。ただの、<商品を作り出す機械>になってしまう気がする。
出版社からすれば<作家>なんて、<使い捨ての道具>でしかないだろうから作者の、<人として譲れないもの>なんて知ったこっちゃないんだろうけど、でもさ、最初の子を妊娠中にあんまりにも辛くて頭が動かなくて<ウケの良さそうな要素>をただ突っ込んで書いたら、ファンの人から、『ゴーストライターが書いたんですか!?』『先生の良さがまったくなくなってました、残念です!』みたいな意見がドッと届いたんだって。
だからさ、私みたいな変な作家でも、一部の人達には需要があるっていうのが分かる。
私は、<読者の声>は聞かないけど、だからって私の作品みたいのを好きだと言ってくれる人達を見捨てて、<一般ウケ>に走りたいとも思わないんだ。
ただ同時に、<私が書きたいと思うもの><私に書けるもの>が読者と噛み合わなくなってきたら、それはもう諦めるしかないとは思ってるけどさ。『私の作品を面白いと思わない読者が悪い!』とは言いたくないんだよ。
それと同時に、私は、『だから男は!』『だから女は!』って言う人達に迎合する気もないんだ。
だって、それを言ったら、ミハエルをこの世に送り出してくれたお父さんとお母さんを貶めることになるからね。ミハエルのご両親は吸血鬼だけどさ』
そう言って、アオは、僕の両親も敬ってくれる。
それができる彼女は素晴らしい女性だと改めて思うよ。
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