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第三幕

『他人を不快にさせないために身につける』はずのマナーや作法や行儀に煩い人が他人を不快にさせまくったりしてるんだ

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『私が自分の子供達に対して箸の使い方を真似てもらったのは、それがマナーとか作法とか行儀だからじゃない。『上手く箸が使えないと、食事が楽しめない』と思ったからなんだ。

箸が上手に使えなくてもたもたしてしまうと、やっぱり食事が楽しくないかな~と思ったんだ。

だから、食事を楽しんでほしくて、箸の使い方を覚えてもらったんだよ。

それでいいんだと思う。

だいたい、『他人を不快にさせないために身につける』はずのマナーや作法や行儀に煩い人が他人を不快にさせまくったりしてるんだ。そんなマナーや作法や行儀になんの意味があるのか、私にはさっぱりだよ。

で、こう言うと、『マナーや作法や行儀の重要性を説いてやってるのにそれを不快に思うような奴が悪い!!』とか言っちゃうの。正直、それを言われた時には目が点になったね。

だって、その理屈が成立するなら、『他人の箸の使い方くらいのことでいちいち不快になる方が悪い!!』ってのも成立しちゃうじゃん?

自分が不快になりたくないからって他人を不快にしてどうすんの?

にしても、この<不快>って言葉、実に曲者だよね。

なにしろその言葉を盾にすれば、どんな難癖だって付け放題だから。『その表現は不快だからやめろ!』とか、実際に使われてるよね。そんな風に難癖付けること自体が他の人からしたら不快だったりするのに、この事実についてはまったく無視するんだもんな~。

どうして、『自分ばかりを優先してもらえるのが気遣ってもらえるのが当たり前』って思えるの?

ねえ、なんで? 自分が世界の中心だとでも思ってるの?

でもまあ、『自分こそが世界の中心』みたいに思っちゃうのも無理ないかな~とは感じるけどさ。

だって、自分の顔は自分じゃ見えないから。

<世界>って、自分の意識でしか認識できないから。

自分が認識してないと、<自分にとっての世界>って、存在してないのと同じだからね。

そういう意味では、『自分がいるからこそ世界も存在してる!!』的な考えになるのも無理ないとは私も思う。

でもさ、そこで、<そうじゃないって思える勇気>が必要になってくると思うんだよ。その勇気が持てて初めて、<世界の中の自分>を確立できると、私は思うんだ。

だって、『自分がいるからこそ世界がある!!』的なことを考えてる人って、世界から見たらそれこそ<危険思想の持ち主>ってことでリスクになるしさ。『世界の方こそが自分の都合に合わせて変わるべき!!』って考えになっちゃいかねないでしょ? それか、『自分の思い通りにならない世界とか、壊れてしまえばいい!!』とかさ。

ヤバイよね』

彼女は、この世界と折り合うためにさまざまなことを考える。『メンドクサイ』とは考えずにね。

物事は、一面だけを見て熟慮しても上手くはいかないんだ。

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