ショタパパ ミハエルくん(耳の痛い話バージョン)あるいは、(とっ散らかったバージョン)

京衛武百十

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第三幕

言葉でさえ何年も掛かってやっと覚えるのに、<小難しい理屈>や<常識>が一度や二度言い聞かせただけで完全に理解できるようになるとか

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『私が育児について語ると、たぶん、何度も何度も何度も何度も同じ話を繰り返し触れることになると思う。

でもね、子供に何かを理解してもらうっていうのは、そういうことなんだと、悠里ユーリ安和アンナ椿つばきを見てて実感したよ。

一度や二度言っただけで理解してもらえることなんて、そんなにない。ダンピールである悠里や安和は人間よりも遥かに知能とかの成長は早かったけど、それでも何度も言ったもんね。

これも、子供の習性なんだろうな。でも、それも当然だと思う。

言葉を教える時だってそうじゃん。何度も何度も何度も何度も言ってみせて、それで覚えていってもらうじゃん。

一度言っただけで覚えられるなら、それこそ、<喃語>を口にし始めたらすぐ、普通に喋れるようにならないとおかしいじゃん。

でも実際には、まともに言葉でコミュニケーションがとれるようになるのは三歳とか四歳くらいになってからだよね。さらに大人と変わらないくらいにスムーズに話せるようになるにはそれからまた何年も掛かる。

言葉でさえ何年も掛かってやっと覚えるのに、<小難しい理屈>や<常識>が一度や二度言い聞かせただけで完全に理解できるようになるとかなんで思えるのって話じゃん?

一度や二度言っただけなのを子供が理解してくれないからって、『口で言っても分からない!』とか、『いや、分かってないのはあんたの方だから!』って話じゃん?

でもさあ、私、<覆面作家>だから、こういうことを作品に盛り込んでも、

『実際には旦那も子供もいない非モテ女の妄想乙www』

とか言われてるらしいんだよね。

けどさ、私が作人に盛り込んでるそういう話を『妄想だ』って思うんなら、どうして、フィクションの中で、

『子供は怒鳴って殴ってってしなきゃ道理も理解できない動物だ!!』

とか言ってたらそれを真に受けたりするの? フィクションだよ? 妄想どころか最初から<嘘>であり<虚構>だって言ってんだよ? それを真に受けるとか、おかしいでしょ?

自分に都合のいいフィクションは信じられるのにそうじゃないのは全部無価値とか、ダブルスタンダードもいいとこだよね。

要するに、自分が信じたいことは真実認定して、信じたくないことや都合の悪いことは嘘認定してるだけじゃん。

でもね、私は、子育てに関しちゃ自分自身の経験を基に書くよ。魔法とか武術とか戦闘とかは、私は使ったこともないし習ったこともないし経験したこともないから妄想全開だけど、子育てについてだけは、徹底的に自分の経験と実感をぶち込む。

<子育てのリアル>をぶち込むよ。<リアルな子供との接し方の描写>を、私が実際にやってることを、ねっとりたっぷりクドクドと描きまくる。

それでも、自分が信じたくないことは、<妄想認定>するんだろうけどね』

そうだね。人間は、自分に都合の悪いことは信じようとしない生き物だ。これは、アオ自身もそうなんだけど、少なくとも彼女はそういう自分を自覚してるんだ。

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