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第三幕

世の中にはいるからね、『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』とばかりに相手の家族にまで危害を加えようとするのが

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アオは、こんなことも言ってたな。

『私は、頭の中ではあれこれ考えながらも、世の中に対して、読者に対して、と言うか、『自分ばかり好き勝手言いたいだけ』の人に対して思うところはあるものの、それを面と向かっては言わないようにしてる。

今はまだ、<商業プロ>がそんなことを言ったら命取りだからね。

だけど、世の中には、そういうことを発信しちゃう<創作者>というか、<作り手>もいる。

で、当然、袋叩きに叩かれる。

残念なことだなと思いつつも、同情はしないでもないけど、自分の発言が何を招くかを考えられない人の場合は、関わろうとは思わない。

ましてや、相手を罵るような、馬鹿にするような、傷付けようとするような言葉を選ぶ人は、正直、<身から出た錆>かなとも思う。

私は、読者を馬鹿にするつもりは毛頭ない。ただ単に、<法>や<ルール>や<良識>も含めた現実を合理的に捉えて客観的に見た場合の話をしたいだけなんだ。

でも、人間は、『自分の見たいもの』『自分にとって都合のいいもの』だけを正しいと思いたがる生き物だという現実も知ってる。

だから、敢えて言いたいことも言わないようにはしてる。

今はまだ、<創作者の本音>を自由に発信できるような環境が醸成されていないのは分かるし、<耳の痛い話>をされると感情的になっちゃう人も多いのも分かってる』

と。

だからアオは、そういうことは発信しないようにしてたな。それで自分の子供達にまで被害が及ぶことを案じてた。

『私の両親。つまり、悠里ユーリ達のお祖父ちゃんお祖母ちゃんは、『論理的に話をしよう』とか言われたら、『それは自分達が論理的な話ができないとみてるからいちいちそう言ってくるんだな!? 侮辱だ!!』って受け取る人達だったんだよね。

いや、ただ本当に冷静に話がしたいだけなんだけど……

身内にもそういうのがいるくらいだから、現状では<創作者の本音>を自由に発信するみたいなのは難しいという現実もまた、認めないといけないと思う。

だから私は、<商業プロ作家・蒼井霧雨>としては、敢えて何も言わないようにしてるんだ。

私が叩かれるのは別にいいんだけど、万が一、悠里や安和アンナ椿つばきにまで累が及んじゃ嫌だから。

世の中にはいるからね、『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』とばかりに相手の家族にまで危害を加えようとするのが。

ってか、冷静に考えたら、<作り手>、いや、<有名人>にだって家族はいるだろうから、罵倒したり罵詈雑言ぶつけたり悪態吐いたりってのは、その人の家族を傷付ける行為でもあるはずなんだけど、それが分かってない人も多いんだろうなっていうのはすごく感じる。

冷静に客観的に論理的に考えられるのなら、その人の家族の気持ちを考えられるのなら、そんなことできないと思うんだけどな。

少なくとも私はできないよ』

彼女は、決して褒められた人間性をしているとは言い難いかもしれない。でも、少なくとも子供達の身を案じることができる人なんだ。

だから僕は、彼女を愛せるんだよ。

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