ショタパパ ミハエルくん(耳の痛い話バージョン)あるいは、(とっ散らかったバージョン)

京衛武百十

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第三幕

自分から応募して入った会社で上司に『面倒見てやってる』みたいな態度とられるだけでもムカつくくらいなんだから

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アオは、こうも言っていたな。

『<生んでやった恩>とか<育ててやった恩>なんてのは存在しないっていう現実を見ないと、何が問題なのかも分かんないよ。『生んでやった』『育ててやった』なんてのは、子供の方から、『あなたの子供に生まれてきたい』って言われて初めて成立するもんだよ。

自分から応募して入った会社で上司に『面倒見てやってる』みたいな態度とられるだけでもムカつくくらいなんだから、『生んでください』と頼んだわけでもない親に『生んでやった』『育ててやった』なんて態度とられて素直に納得できる方がレアだって。

確かに世の中にはそういうレアケースだってあるかもしれないけど、現に親の態度に納得できてない子供も少なくない…てか、実際にはものすごく多いのは自分の回りを見てても実感するんじゃない? 上辺じゃなく、本音の部分を探ればさ。

その上でなお、親に対して完全に納得できてるって言うのがいたら、それはその人の親が、子供が納得できるだけのことをしたって話だしね』

アオは、自分が、<納得できない親>を持ったからこそ、

『どうして自分は、こんなに親を尊敬できないんだろう? 信頼できないんだろう?』

って考えたんだ。そして、<尊敬できない信頼できない親>を攻撃するんじゃなくて、

『じゃあ、自分があの人達みたいにならずに済むにはどうすればいいんだろう?』

と考えることにしたんだ。

だって、アオの両親は、アオのことを信頼してないからね。アオの両親が彼女に対して望んでいるのは、

『自分達にとっての便利な道具でいてくれること』

だから。

アオは人間だよ。そして人間は<道具>にはなりきれない。<心>を持っているからね。例外的に道具になりきれる人間がいたとしても、それは普遍的なものにはなれない。

かつての<奴隷制度>が長く続くことができたのは、実はそれなりに大切に使われていたかららしいしね。

今でも、自動車などの<道具>を大切に使う人間がいるように、奴隷も、<高価で大切な道具>だったんだよ。

そして、『ものを大切にする』というのは、古くから美徳とされてきた。ううん。現代のように大量生産大量消費ができなかったからこそ、ものを大切にすることが望まれた。

奴隷は<もの>だけど、同時に、そうそう乱暴に使い捨てることができるようなものじゃなかったんだ。

だけどもちろん、現代でもものを大切にしない人も少なくないように、本当に酷い扱いを受けた奴隷が少なくなかったことも事実だから、廃止されるに至ったんだけどね。

そしてなにより、奴隷は<人間>だったから。

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