ショタパパ ミハエルくん(耳の痛い話バージョン)あるいは、(とっ散らかったバージョン)

京衛武百十

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第三幕

一人の人の<好み>だけに合わせて<商品としての作品>を発表していて、それがどうして<商売>になると思うの?

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『一人の人が持てる資産は微々たる物』

これが何よりの答えだよ。

一人の人の<好み>だけに合わせて<商品としての作品>を発表していて、それがどうして<商売>になると思うの? その人は、数億数十億数百億と、<商品の対価>を支払い続けることができるの?

できないよね?

だから、様々な人の<好み>に合わせたいろいろな<商品としての作品>が作られる。

<自分の好みには合わない作品>

が、いくつも作られることになる。

アオはそれを、

「結局さ、<萌え>が好きな読者や視聴者もいれば、<燃え>が好きな読者や視聴者もいて、<中二病な作品>が好きな読者や視聴者もいれば、<リアルさ>が好きな読者や視聴者もいて、<百合>が好きな読者や視聴者もいれば、<BL>が好きな読者や視聴者もいて、<ご都合主義的にすべてが上手くいく話>が好きな読者や視聴者もいて、<登場人物がひたすら傷付き苦しむ話>が好きな読者や視聴者もいて、そういうのがさらに複合的に絡み合ってるのが好きな読者や視聴者がいて、さらにさらにそれらの要素の配分の好みも人それぞれ違う。

で、それぞれをターゲットに絞った作品が次々と創り出されるからこそ、<商売>が成り立つんだよ。

漫画やアニメが物珍しくて、他に娯楽も少なかった頃には、<国民的な作品>も登場しやすかったかもしれない。だけど、今は、それこそ無数の<コンテンツ>がこの世に溢れてて娯楽も無数もあって好みが分散しちゃうから、<国民的な作品>というのが生まれにくい土壌になっちゃってるんだと思う。

実際、<ものすごく売れてる作品>だって、『なんでのこんなのが売れるんだ!?』って言うのがいるじゃん。要するにその人の<好み>からは外れてるけど、『好き』と思う人がたくさんいるってことじゃん。

ニッチなのでも何でも、とにかく多種多様な<作品>が生み出されることが今は望まれてるってことじゃないの?

<多品種少数生産>的なのが必要なんだろうね。

で、その中で、たまたま、ものすごく売れるのが現れる。

それでいいんじゃないの? てか、そういう形でしかヒットが生まれない土壌なんだと思うよ。『狙ってヒットを作る』ことが難しい世の中になってるんだろうね。

それをいまさら娯楽が少なかった時代に戻すなんてことができんの? できないでしょ? だったら現状に合わせて作品作りをするしかないじゃん。現実を見据えて対処するしかないじゃん。

多種多様な<好み>に合わせた作品をどんどん作ることが、今は求められてるんでしょ。

だからさ、自分の好みに合わない作品があること自体がもう『当たり前』なんだよ。それにいくら文句を言ったところで、昔には戻らないって」

と言ってたな。

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