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第三幕

『好きだ』という気持ちは止めることはできないかもしれない。やめさせることはできないかもしれない。だけど、それを受け入れるかどうかは

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『誰を選ぶかは当人が決められる』

そう考えられれば、ストーカーとかがなぜ駄目なのかも分かるよね?

自分の気持ちを受け入れるかどうかは、相手が決めることであって、自分が決めることじゃないからだよ。

そして相手の人格を認めるなら、相手の選択も認めなきゃ。

『好きだ』という気持ちは止めることはできないかもしれない。やめさせることはできないかもしれない。

だけど、それを受け入れるかどうかは相手が決めることだと、僕は安和アンナ達に伝えていかなきゃいけない。

それが、安和達をこの世に送り出した僕の義務なんだ。

もし、セルゲイが安和を選ばずに彼女が傷付いたなら、その気持ちとも向き合うよ。

だから何も心配要らない。安和。

そして何より、相手の選択を認めないような者を、セルゲイは決して選ばない。

自分の想いが届かない事実と向き合うこともできない相手は、セルゲイには選んでもらえないんだ。スタートラインに立つことさえできないんだよ。

だけど、その点は大丈夫だと思う。安和はもうそれができる女性だ。

確かに、セルゲイに選んでもらえなかったら、ショックを受けるに違いない。泣いて、喚いて、僕に八つ当たりするかもしれない。何日も落ち込んで、きっと辛そうな様子を見せるだろうな。

でも、それ自体が<生きる>ということなんだ。すべてが自分の思い通りに行くわけじゃない。心が折れる試練に出くわすこともある。

それを乗り越えていくのが、<生きる>ということなんだよ。

その時、もし君が必要とするなら、挫折を乗り越えるのに僕やアオの力が必要だったら、応えるよ。決して君を見捨てたりはしない。

だって僕とアオが君をこの世に送り出したんだから。

この過酷な世界にね。

だからこそ、君がこの世界で生きていけるようにすることも、僕の義務だ。

辛いことがあった時、悲しいことがあった時、心が折れることがあった時、それをどう乗り越えていくかを君に伝えるよ。

普通に考えれば、僕が先にこの世を去ることになるだろう。だからそれまでの間に。安和が逆に誰かを支える側になれるように。

自分が親にそうしてもらえなかったから僻んで他人の足を引っ張ろうとする人間も確かに少なくないけど、そういうのに惑わされる必要がないというのも分かってもらわないとね。

実際、自分とは何の関係もない、貌も知らない相手の言葉に惑わされて自分を見失う人間も多いよね。それはどうしてなんだろう? 身近な誰かの力強い言葉があれば、そんなのは気にする必要もないんじゃないかな。

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