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第三幕
そこまで追い詰められていない状況では
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確かに、『それを食べなければ死ぬ』という状況では好き嫌いも言ってられないのかもしれない。
だけど実際にそこまで追い詰められていない状況では好き嫌いを口にしたところでそれほど大きな問題にはならないんじゃないの?
『作ってくれた人や命を戴くことになる生き物への感謝が大事』
と人間は言うけど、それを、口先だけでなく、上辺だけでなく、建前だけでなく、本気で、心の底から思ってる人間が、いったい、どれだけいるって言うの?
そんな口先だけの言葉で納得できるなら、どうして人間は争いをやめないの?
『他人には優しくしなさい』
『思い遣りこそが大事』
そう言いながら、ネット上に罵詈雑言や誹謗中傷が溢れてるのはなぜ? それを改めることができないのはなぜ?
『他人には優しくしなさい』
『思い遣りこそが大事』
『作ってくれた人や命を戴くことになる生き物への感謝が大事』
そんな言葉なんて<綺麗事>だと思って本気には受け取ってないからじゃないの?
人間の振る舞いを見ていれば分かるよ。どれほど他人が押し付けても、本人が納得していなければ受け入れることはできないって。
そして、自分の思い通りにならないとなると感情的になるって。
『好き嫌いをなくすのが本人のため』
と言いながら、実際には他人を服従させたい、自分の思い通りに操りたいだけだというのがね。それは単に、自身の支配欲を満たしたいという欲求でしかない。
だから、アレルギーでさえ<ただの好き嫌い>と断じて強引に食べさせようとしたりするんだ。
何を食べて何を食べないかは、本人に選んでもらえばいいことだよ。何のために無数の飲食店があって、それぞれいくつものメニューを提示しているの? その中から選ぶためじゃないの?
他人は、自身の支配欲を満たすために存在してるんじゃないということを理解した方がいいと思う。
いずれにしても、自分は好き勝手なことをしておきながら他人の自由は認めないなんていう理屈はもう通じないんだ。自分が自由にしたいと思うのなら、他人の自由も認めないと成立しないんだよ。
悠里は、他人の自由を冒したいとは思っていない。意図してそれをするような子じゃない。
だから僕は、彼がしようと思うことに過剰に干渉しようとは思わない。
彼がもし、誰かを傷付けようとしているなら、それは<自由の範疇>を超えているとして介入する。けれど、そうじゃないなら。彼自身の責任においてできる範囲のことであれば、彼自身に任せたいんだ。
いずれ彼が僕とアオの下を離れて自らの人生を歩んでいくための予行演習としてね。
だけど実際にそこまで追い詰められていない状況では好き嫌いを口にしたところでそれほど大きな問題にはならないんじゃないの?
『作ってくれた人や命を戴くことになる生き物への感謝が大事』
と人間は言うけど、それを、口先だけでなく、上辺だけでなく、建前だけでなく、本気で、心の底から思ってる人間が、いったい、どれだけいるって言うの?
そんな口先だけの言葉で納得できるなら、どうして人間は争いをやめないの?
『他人には優しくしなさい』
『思い遣りこそが大事』
そう言いながら、ネット上に罵詈雑言や誹謗中傷が溢れてるのはなぜ? それを改めることができないのはなぜ?
『他人には優しくしなさい』
『思い遣りこそが大事』
『作ってくれた人や命を戴くことになる生き物への感謝が大事』
そんな言葉なんて<綺麗事>だと思って本気には受け取ってないからじゃないの?
人間の振る舞いを見ていれば分かるよ。どれほど他人が押し付けても、本人が納得していなければ受け入れることはできないって。
そして、自分の思い通りにならないとなると感情的になるって。
『好き嫌いをなくすのが本人のため』
と言いながら、実際には他人を服従させたい、自分の思い通りに操りたいだけだというのがね。それは単に、自身の支配欲を満たしたいという欲求でしかない。
だから、アレルギーでさえ<ただの好き嫌い>と断じて強引に食べさせようとしたりするんだ。
何を食べて何を食べないかは、本人に選んでもらえばいいことだよ。何のために無数の飲食店があって、それぞれいくつものメニューを提示しているの? その中から選ぶためじゃないの?
他人は、自身の支配欲を満たすために存在してるんじゃないということを理解した方がいいと思う。
いずれにしても、自分は好き勝手なことをしておきながら他人の自由は認めないなんていう理屈はもう通じないんだ。自分が自由にしたいと思うのなら、他人の自由も認めないと成立しないんだよ。
悠里は、他人の自由を冒したいとは思っていない。意図してそれをするような子じゃない。
だから僕は、彼がしようと思うことに過剰に干渉しようとは思わない。
彼がもし、誰かを傷付けようとしているなら、それは<自由の範疇>を超えているとして介入する。けれど、そうじゃないなら。彼自身の責任においてできる範囲のことであれば、彼自身に任せたいんだ。
いずれ彼が僕とアオの下を離れて自らの人生を歩んでいくための予行演習としてね。
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