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第三幕
これはゲームだから
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<五年生の椿でさえやろうとしていること>
だけどそれは、僕やアオが普段から彼女に対して実際の振る舞いで見せていることだから、そういうことをしてもらえていない子が椿と同じことができるかと言われれば、現実的じゃないとは思うよ。
椿はあくまで、自分が経験してきたことを真似てるだけだからね。
でも、それが重要なんだと思う。いくら口先で言葉だけで説明しても、なかなか伝わるものじゃないことは、多くの人が実感してることじゃないの?
だから、
『子供には口で言っても伝わらない』
って考えるんじゃないの? それが分かってるのに『口で言っただけで言葉で示しただけで子供が理解しない』ということに憤るのはフェアじゃないと僕は思う。
口で言って分からないなら、言葉で示して分からないなら、大人が自ら実際に手本を示してみせればいいとどうして思い至らないの?
『相手から信頼を得るにはこうすればいい』
というのを、どうして子供に対して実践しないの?
大人だって、信頼してない相手に言われたことには素直に従えなかったりするよね?
自身の言動が礼儀礼節に反していることを、信頼してない相手から指摘されて、素直に態度を改める大人がどれだけいるって言うの?
自分がそれをできないのなら、どうして、まず、<子供から信頼される大人>になろうとしないの? 自分がその努力を怠っておいて子供から信頼を得られなくてそれで言うことを聞いてもらえないことに憤るなんて、ただの<甘え>としか思えないよ?
子供に対して<努力する姿>をまず見せなくちゃ。しかも、
<自分を立派に見せようとする努力>
じゃなくて、
<相手の信頼を勝ち取る努力>
をね。
ただただ偉そうなことを言うばかりで、でも普段の行動はまったく伴ってなくて、それでどうして<信頼>を勝ち取れると思うの?
『自分は信頼されて当然の人間だ』
なんて思い込みは、相手にとっては何の価値もないよ?
目の前にいるその人の信頼を勝ち取るには、それに値する行動あるのみじゃないのかな?
だから椿は、行動するんだ。
紫音と一緒にまたボードゲームを始めて、ルーレットが彼の思う数字を出さなくて苛立ちを募らせ始めたら、
「大丈夫だよ。これはゲームだから。ホントのことじゃないから。紫音くんがホントにヒドイ目に遭うわけじゃないから。今回は上手くいかなくても、上手くいくことだってあるよ」
そう言って彼をなだめた。すると、椿自身、出目が悪くて、その時点で得ていた<お金>を全て失うという目に遭った。
「あやや~! やられちゃった。でもこれで紫音くんの逆転だね」
そのボードゲームは、ゴールのマスに辿り着いた時点での<所持金>が一番多いプレイヤーが勝利というものだったから、僅かでも所持金が残ってる紫音の方が、この時点では椿に勝っていたんだ。
だけどそれは、僕やアオが普段から彼女に対して実際の振る舞いで見せていることだから、そういうことをしてもらえていない子が椿と同じことができるかと言われれば、現実的じゃないとは思うよ。
椿はあくまで、自分が経験してきたことを真似てるだけだからね。
でも、それが重要なんだと思う。いくら口先で言葉だけで説明しても、なかなか伝わるものじゃないことは、多くの人が実感してることじゃないの?
だから、
『子供には口で言っても伝わらない』
って考えるんじゃないの? それが分かってるのに『口で言っただけで言葉で示しただけで子供が理解しない』ということに憤るのはフェアじゃないと僕は思う。
口で言って分からないなら、言葉で示して分からないなら、大人が自ら実際に手本を示してみせればいいとどうして思い至らないの?
『相手から信頼を得るにはこうすればいい』
というのを、どうして子供に対して実践しないの?
大人だって、信頼してない相手に言われたことには素直に従えなかったりするよね?
自身の言動が礼儀礼節に反していることを、信頼してない相手から指摘されて、素直に態度を改める大人がどれだけいるって言うの?
自分がそれをできないのなら、どうして、まず、<子供から信頼される大人>になろうとしないの? 自分がその努力を怠っておいて子供から信頼を得られなくてそれで言うことを聞いてもらえないことに憤るなんて、ただの<甘え>としか思えないよ?
子供に対して<努力する姿>をまず見せなくちゃ。しかも、
<自分を立派に見せようとする努力>
じゃなくて、
<相手の信頼を勝ち取る努力>
をね。
ただただ偉そうなことを言うばかりで、でも普段の行動はまったく伴ってなくて、それでどうして<信頼>を勝ち取れると思うの?
『自分は信頼されて当然の人間だ』
なんて思い込みは、相手にとっては何の価値もないよ?
目の前にいるその人の信頼を勝ち取るには、それに値する行動あるのみじゃないのかな?
だから椿は、行動するんだ。
紫音と一緒にまたボードゲームを始めて、ルーレットが彼の思う数字を出さなくて苛立ちを募らせ始めたら、
「大丈夫だよ。これはゲームだから。ホントのことじゃないから。紫音くんがホントにヒドイ目に遭うわけじゃないから。今回は上手くいかなくても、上手くいくことだってあるよ」
そう言って彼をなだめた。すると、椿自身、出目が悪くて、その時点で得ていた<お金>を全て失うという目に遭った。
「あやや~! やられちゃった。でもこれで紫音くんの逆転だね」
そのボードゲームは、ゴールのマスに辿り着いた時点での<所持金>が一番多いプレイヤーが勝利というものだったから、僅かでも所持金が残ってる紫音の方が、この時点では椿に勝っていたんだ。
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