ショタパパ ミハエルくん(耳の痛い話バージョン)あるいは、(とっ散らかったバージョン)

京衛武百十

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第三幕

力関係が逆転することで

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だけど、椿つばきが自分を受け止めてくれると紫音しおんが実感してくるとおそらく次に来るのは、

<試し行動>

だろうね。それまでずっと抑圧されてきた子が突然その抑圧から解放されると、反動により傍若無人に振る舞うことがあるんだ。

<抑圧される側>

だったものが、

<抑圧する側>

になるってことかな。

これは、親子関係でもあることだと思う。幼く非力だった子供が、自分に力が付いてきたことで一方的に抑圧されるだけじゃなく、反撃に転じるという事例。

いわゆる、

<家庭内暴力>

によく見られるものだろうか。

『力の強い者、立場が上の者が、力の弱い者、立場が下の者を、一方的に支配していい』

と考えている人が陥りやすいものだ。

子供が幼く非力なのをいいことに親が一方的に支配し抑圧していると、子供の成長に伴って力関係が逆転。親にされてきたことを子供がやり返すようになるというのが最も多いんじゃないかな。

<甘やかし>が原因でそうなると考える人も多いみたいだけど、僕が人間達を見てきたことで得た実感は違う。

いや、おそらく原因であること自体は間違いないんだけど、そもそも<甘やかし>と言われるものが、

『子供に対して甘い』

ことだという認識がまず僕が持つ印象と違ってる。

<甘やかし>は、際限なく子供に譲歩することの代わりに自分の思うままに支配しようという形の<抑圧>だからね。

『これだけ言うことを聞いてあげてるんだからこっちの言うことも聞いてね』

ということなんだと思う。

しかも、子供の意思に関係なく操るのが目的なんだ。

そう、子供の言うことを聞いてあげているフリをして実際は一方的に支配するのが目的だから、

<相手を一方的に支配できる力>

が自分についたと子供が実感すると、親がしてきた<支配>を真似るのも当然だよね。

しかも、<甘やかし>で、『子供の言いなりになることで自分の言うことを聞いてもらう』ことで、実質的に子供を支配しようとしてきた親には、それ以外に子供と折衝する手段がない。出せるカードが元々少ないんだ。

加えて、成長し欲望もそれに伴って大きくなった子供の要求は、親の能力を上回ってしまう。

こうなればもう、できることは何もない。ただただ子供に支配されることで、言いなりになることで、子供の逆鱗に触れないように遜るしかない。

力関係が逆転することで<支配する側>と<支配される側>が逆転するんだ。

そしてそれは、

<自分を抑圧してこない相手>

と出逢うことでも疑似的に生じることがある。これまで一方的に支配され抑圧されてきたのが、<自分を抑圧してこない相手>を得たことで、

『自分の方が立場が上になった』

的な誤った認識を生むことがあるんだ。

それが結果として<試し行動>に繋がるって事例かな。

今回のは。

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