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第三幕
何かと理由をつけて他人を攻撃する
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僕達は、
『他人を攻撃する』
ということ自体を原則<禁忌>としてる。何故なら、まずそれを前提としないと、
『何かと理由をつけて他人を攻撃する』
ことを抑えられないから。
自分にとって好ましくない存在、不快な存在、不都合な存在に対して理由をこじつけては攻撃していて自分が攻撃されない道理はないんだ。
<人間にとって有害な存在>
そういう意味では、僕達吸血鬼なんてまさに人間にとっては恐怖そのものでしかなかったからね。
ううん、今でも多くの人間は僕達を敵視してるのも事実だよ。日本が特殊なだけだ。
吸血鬼自身、人間と敵対することをやめたのはほんの百年とかその程度の以前だった。
そしてほとんどの人間は、そのことを知らない。
だから人間にとっては今でも排除したい対象なんだ。
それに、人間にも犯罪を犯す者がいるように、吸血鬼にも、エンディミオンの父親のように人間に対して危険な存在もいる。
人間にとって不利益なことを考えているというだけなら、他にもいるかもしれない。
だけど、その一部の<不届き者>を理由に排除されることを受け入れるのはできない。
加害行為を実行した者が罰せられるのは当然だけど、思ってるだけでそれを抑えることができている者まで処罰されたり排除されたりなんて、認めることはできないんだ。
今の日本人なら、僕達吸血鬼のことも、
『必ずしも人間にとって危険な存在じゃない!』
って言ってくれるかもしれないけれど、でもそれさえ、人間全体の共通認識じゃないし、むしろその主張を信じてくれない方が圧倒的に多いと思う。
どの程度の危険があるのかなんて、実際には数値化できるものじゃない。<事件に至った割合>は、それだけじゃ危険度を表す指標とはなりえない。
そもそもそれは、<分母>の数が正確じゃないと意味のない数字だ。僕達吸血鬼の正確な人数は、実は僕達にも分からない。<互助組織>に登録しているのは、決して全員じゃないんだ。
他の吸血鬼との交流もさけて独自に生活を営んでいる吸血鬼もいる。
それと同じで、人間の中でも、どういう気性や傾向を持つ者がどの程度の危険をはらんでいるのかなんて、正確な数字は出せないんだよ。何より、分母の数を正確に把握すること自体が、現実にはほぼ不可能だからね。
その事実には目を瞑り、人間は印象だけで、イメージだけで、
『危険だ! 有害だ!!』
と決め付けて排除しようとする癖がある。
それ自体が危険なことだよ。大きな過ちの元だ。
その危険性を理解せず、自分の印象やイメージで誰かを排除しようとする人こそが、社会にとっては、
<危険な存在>
なんだ。
『他人を攻撃する』
ということ自体を原則<禁忌>としてる。何故なら、まずそれを前提としないと、
『何かと理由をつけて他人を攻撃する』
ことを抑えられないから。
自分にとって好ましくない存在、不快な存在、不都合な存在に対して理由をこじつけては攻撃していて自分が攻撃されない道理はないんだ。
<人間にとって有害な存在>
そういう意味では、僕達吸血鬼なんてまさに人間にとっては恐怖そのものでしかなかったからね。
ううん、今でも多くの人間は僕達を敵視してるのも事実だよ。日本が特殊なだけだ。
吸血鬼自身、人間と敵対することをやめたのはほんの百年とかその程度の以前だった。
そしてほとんどの人間は、そのことを知らない。
だから人間にとっては今でも排除したい対象なんだ。
それに、人間にも犯罪を犯す者がいるように、吸血鬼にも、エンディミオンの父親のように人間に対して危険な存在もいる。
人間にとって不利益なことを考えているというだけなら、他にもいるかもしれない。
だけど、その一部の<不届き者>を理由に排除されることを受け入れるのはできない。
加害行為を実行した者が罰せられるのは当然だけど、思ってるだけでそれを抑えることができている者まで処罰されたり排除されたりなんて、認めることはできないんだ。
今の日本人なら、僕達吸血鬼のことも、
『必ずしも人間にとって危険な存在じゃない!』
って言ってくれるかもしれないけれど、でもそれさえ、人間全体の共通認識じゃないし、むしろその主張を信じてくれない方が圧倒的に多いと思う。
どの程度の危険があるのかなんて、実際には数値化できるものじゃない。<事件に至った割合>は、それだけじゃ危険度を表す指標とはなりえない。
そもそもそれは、<分母>の数が正確じゃないと意味のない数字だ。僕達吸血鬼の正確な人数は、実は僕達にも分からない。<互助組織>に登録しているのは、決して全員じゃないんだ。
他の吸血鬼との交流もさけて独自に生活を営んでいる吸血鬼もいる。
それと同じで、人間の中でも、どういう気性や傾向を持つ者がどの程度の危険をはらんでいるのかなんて、正確な数字は出せないんだよ。何より、分母の数を正確に把握すること自体が、現実にはほぼ不可能だからね。
その事実には目を瞑り、人間は印象だけで、イメージだけで、
『危険だ! 有害だ!!』
と決め付けて排除しようとする癖がある。
それ自体が危険なことだよ。大きな過ちの元だ。
その危険性を理解せず、自分の印象やイメージで誰かを排除しようとする人こそが、社会にとっては、
<危険な存在>
なんだ。
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