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第三幕

日常の何気ない団欒の中で

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アオは、大事なことをちゃんと丁寧に子供達が理解できるように説明してくれてる。それを、『面倒臭い』『そこまでやってられない』と言ってやらない人が多い中でね。

『子供のために生きるとか有り得ない』

『親にだって自分の人生はある』

そんな風に思うのは自由だとしても、その結果として自分の子供が他人に迷惑を掛けるような人になってしまった時に、それを子供の所為にするのは、おかしいよね。

することやってなくて、なのに、『自分は悪くない』『自分に責任はない』なんて、悲しいよ。

アオはそれを、日常の何気ない団欒の中でこなしてくれてる。『面倒臭い』『自分の時間がなくなる』なんて言わずに、子供達とたくさん話してくれるんだ。

彼女がやってるそれをやろうとしない人が、

『自分はちゃんとやってる』

という態度なのが本当に分からない。

『子供が自分と話をしたがらないから、できない』

そんな風に言う人も多いみたいだけど、なぜ『子供が親と話をしたがらないのか』について考えることを避けているよね。

『思春期の子供は親と話をしたがらない』

というのも、<迷信>だよ。

単純に、

『話をしたいと思えない人だから話したくない』

だけなのも分かってる。

自分の話には耳を傾けずに一方的に押し付けてくるだけの人と、自分は話をしたいと思う?

それだけの話だということ。

相手の話には耳を傾けず、一方的に自分の主張だけを押し付けてくる人っているよね。そういう姿勢を、誰から学んだんだろうね。

僕の母は相手の言葉に耳を傾けてくれる人だったけど、父は、どちらかと言えば相手の言葉はあまり耳に入ってこないタイプの人だったように思う。何でも自分で決めて自分が決めたとおりに行動してって人だった。

だから科学者としては研究に集中できて優秀だったんだろうけど、僕自身は父のことはどこか苦手だったのは偽らざる気持ち。

その時の僕自身を思い浮かべても、父とは積極的に話をしたいとは思っていなかった。

父がそんな感じだったのを、母が補ってくれていたんだろうなとは、思う。それで言うと、僕の両親は間違いなく素晴らしい人だった。互いを補い合っていたと感じるし。

一方、世の中には、男性、女性を一括りにして嫌悪感や敵意をむき出しにしてる人がいるけど、そういう人達は自分の父親や母親が男性であり女性であることをどう思ってるんだろうか?

もしかすると自分の父親や母親を思い浮かべればこその憤りなのかな。

だとすれば、男性、女性で一括りにして嫌悪感や敵意をむき出しにする人がそれだけ多いというのは、子供から嫌悪感や敵意を向けられる親がそれだけ多いということでもあるよね。

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