ショタパパ ミハエルくん(耳の痛い話バージョン)あるいは、(とっ散らかったバージョン)

京衛武百十

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第三幕

確信が持てること

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それまでは信じられていなかったことでも、確信を持って挑めることもある。

僕とアオの間には三人の子供がいるけど、かつて、吸血鬼と人間の間で生まれた<ダンピール>は、

『吸血鬼を激しく憎み、問答無用で攻撃を仕掛けてくる』

とずっと信じられてきたのが、医科学的に詳細に調べれば必ずしもそうじゃないことが分かってきたことで、僕とアオは子供を成す決心をした。

『吸血鬼を激しく憎み、問答無用で攻撃を仕掛けてくる』というのがただの<迷信>に過ぎないことを、僕の親族で生物学者である<セルゲイ>が明確に示してくれたから。

<ダンピールが吸血鬼を憎むようになるのは、結局、環境要因による後天的に形成された性質>

だって。

吸血鬼とダンピールは、生物的に見ればほとんど同じなんだ。脳の活動についても、生物的な形での違いはない。

だとしたら、僕とアオなら大丈夫だって確信できた。

だから、悠里ユーリを、安和アンナを、椿つばきを迎えたんだ。

悠里ユーリ安和アンナは、ダンピールとして生まれたけど、二人はとても穏やかな気性の持ち主だよ。安和アンナは辛辣なことを口にしたりする子だったりもするものの、それはあくまで表面的なものでしかない。仕事中のアオの姿と同じ。

そして末子の椿は普通の人間として生まれて、しかもやっぱり穏やかな気性の子として育ってくれてる。

そうなるように僕もアオも努力したからね。

こうして、

『吸血鬼を激しく憎み、問答無用で攻撃を仕掛けてくる。というのは単なる迷信』 

だということも立証された。

だから僕達は、きちんと現実に目を向けて、事実を事実として認識して、その都度その都度、適切な対処を心掛ける。

『たとえ眷属になっても変わらない』

『ダンピールは必ずしも危険な存在じゃない』

そのどちらも素晴らしいことだけれど、そのどちらも同じように実現できるとは限らない。創作ではそのどちらも実現できることもあるとしても、現実ではそうとは限らない。

僕達はその事実と向き合っていきたいんだ。

それができるから、吸血鬼と人間という、種を超えた形での関係も成立させることができる。ただただ理想を盲目的に信じて事実と向き合うことをせず適切な対処を怠っていたら、そこから綻びが生じるからね。

アオは、現実と向き合うことができる女性なんだ。

たぶん、気配を消している僕を見付けることができたのも、そのことが関係してるんだろうな。視覚が捉えている情報をただ事実として認識できたから。

僕達が『気配を消す』ことができるのは、<魅了チャームの能力>の応用なんだ。

『そこには何もないって誤認させることで認識させない』

という形だから。

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