326 / 571
第二幕
恵莉花の日常 その21
しおりを挟む
恵莉花が通う学校では、いかにも露骨な<イジメ>については対処される。
具体的には、<刑法犯>に当たるもの、当たるとみられるものについては指導が入る感じだろうか。
殴られる→暴行
金品を要求される→恐喝
危害を加えると脅される→脅迫
する必要のないことを強引にやらされる→強要
上靴などの持ち物を隠される→窃盗
教科書などの持ち物に落書きされる。壊される→器物損壊
等々。
以上に該当するような事例についてはまず<指導>が入り、それでも改まらないとなれば警察への通報も辞さないと明言されている。
ただ、
『積極的に挨拶しない』
『積極的にコミュニケーションを図らない』
等については、さすがにそれを学校側が強要することもできないので、
『クラス運営に支障が出ると担任教師が判断するレベルに達している』
くらいまで行かないと、精々、
『クラスの仲間なんだから仲良くしろよ』
と口頭で告げられるくらいに留められていた。
なので、
『<関わりたくない相手>に対しては積極的には関わらない』
ことがまかり通っている状態だろうか。
だから、恵莉花も千華も、そういう対応をされているというわけだ。
けれど、恵莉花も千華も、いい気はしないものの、
『まあ、関わりたくないってんなら、関わらなくていいじゃん』
と割り切るようにしている。
それに恵莉花の場合は、家に帰れば丸ごと癒してもらえるので、気にする必要もなかった。
一方、千華の方は、高校進学を機にシッターとの契約も終了し、現在、両親も彼女とは積極的に関わろうとせず、ほぼ一人暮らしに近い生活をしている。
しかし、だからといって家に<不良仲間>を招いてたまり場にするようなこともなく、時々、礼司を招いて甘い時間を過ごすだけだ。
もっとも、何かと言えば衝突する二人なので、本当に<甘い時間>を過ごせることは滅多にないけれども。
その分、千華は、学校で恵莉花に会うことで癒されているというのもある。
「エリといるとさ、ホッとするんだよね。あんたといる時が一番の幸せかな」
千華はことあるごとにそんなことを言う。
「でもそれじゃ、レイジの立場がないじゃん」
恵莉花がそう返すと、千華は手の平をひらひら振りながら、
「いいのいいの、あいつはあたしにとっては二番目だから。あたしにとっての一番はエリなんだよ」
と言い切ったりもする。
「もう、またそんなこと言って。そんなだからケンカになるんでしょ?」
苦笑いを浮かべる恵莉花だったものの、実は、礼司の方からも、
「あいつにはエリが必要なんだよ。だからさ、俺じゃ足りない分はエリに頼みたいんだ」
と言われていたりもする。
そう言えるくらい、実は分かり合えているのだった。
具体的には、<刑法犯>に当たるもの、当たるとみられるものについては指導が入る感じだろうか。
殴られる→暴行
金品を要求される→恐喝
危害を加えると脅される→脅迫
する必要のないことを強引にやらされる→強要
上靴などの持ち物を隠される→窃盗
教科書などの持ち物に落書きされる。壊される→器物損壊
等々。
以上に該当するような事例についてはまず<指導>が入り、それでも改まらないとなれば警察への通報も辞さないと明言されている。
ただ、
『積極的に挨拶しない』
『積極的にコミュニケーションを図らない』
等については、さすがにそれを学校側が強要することもできないので、
『クラス運営に支障が出ると担任教師が判断するレベルに達している』
くらいまで行かないと、精々、
『クラスの仲間なんだから仲良くしろよ』
と口頭で告げられるくらいに留められていた。
なので、
『<関わりたくない相手>に対しては積極的には関わらない』
ことがまかり通っている状態だろうか。
だから、恵莉花も千華も、そういう対応をされているというわけだ。
けれど、恵莉花も千華も、いい気はしないものの、
『まあ、関わりたくないってんなら、関わらなくていいじゃん』
と割り切るようにしている。
それに恵莉花の場合は、家に帰れば丸ごと癒してもらえるので、気にする必要もなかった。
一方、千華の方は、高校進学を機にシッターとの契約も終了し、現在、両親も彼女とは積極的に関わろうとせず、ほぼ一人暮らしに近い生活をしている。
しかし、だからといって家に<不良仲間>を招いてたまり場にするようなこともなく、時々、礼司を招いて甘い時間を過ごすだけだ。
もっとも、何かと言えば衝突する二人なので、本当に<甘い時間>を過ごせることは滅多にないけれども。
その分、千華は、学校で恵莉花に会うことで癒されているというのもある。
「エリといるとさ、ホッとするんだよね。あんたといる時が一番の幸せかな」
千華はことあるごとにそんなことを言う。
「でもそれじゃ、レイジの立場がないじゃん」
恵莉花がそう返すと、千華は手の平をひらひら振りながら、
「いいのいいの、あいつはあたしにとっては二番目だから。あたしにとっての一番はエリなんだよ」
と言い切ったりもする。
「もう、またそんなこと言って。そんなだからケンカになるんでしょ?」
苦笑いを浮かべる恵莉花だったものの、実は、礼司の方からも、
「あいつにはエリが必要なんだよ。だからさ、俺じゃ足りない分はエリに頼みたいんだ」
と言われていたりもする。
そう言えるくらい、実は分かり合えているのだった。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
妖古書堂のグルメな店主
浅井 ことは
キャラ文芸
裏路地にある小汚い古本屋
店主はいつもテーブルに座って本を読んでいるだけ。
立ち読みにはいいかと寄ったのが運の尽き。突然「うちで働いてみませんか?」と声をかけられたのは良いものの、本の整理をするバイトだと思っていたら____
上杉山御剣は躊躇しない
阿弥陀乃トンマージ
キャラ文芸
【第11回ネット小説大賞 一次選考通過作品】
新潟県は長岡市に住む青年、鬼ヶ島勇次はとある理由から妖を絶やす為の組織、妖絶講への入隊を志願する。
人の言葉を自由に操る不思議な黒猫に導かれるまま、山の中を進んでいく勇次。そこで黒猫から勇次に告げられたのはあまりにも衝撃的な事実だった!
勇次は凄腕の女剣士であり妖絶士である上杉山御剣ら個性の塊でしかない仲間たちとともに、妖退治の任務に臨む。
無双かつ爽快で華麗な息もつかせぬ剣戟アクション活劇、ここに開幕!
※第11回ネット小説大賞一次選考通過作品。
陽香は三人の兄と幸せに暮らしています
志月さら
キャラ文芸
血の繋がらない兄妹×おもらし×ちょっとご飯ものなホームドラマ
藤本陽香(ふじもと はるか)は高校生になったばかりの女の子。
三人の兄と一緒に暮らしている。
一番上の兄、泉(いずみ)は温厚な性格で料理上手。いつも優しい。
二番目の兄、昴(すばる)は寡黙で生真面目だけど実は一番妹に甘い。
三番目の兄、明(あきら)とは同い年で一番の仲良し。
三人兄弟と、とあるコンプレックスを抱えた妹の、少しだけ歪だけれど心温まる家族のお話。
※この作品はカクヨムにも掲載しています。
アヤカシ町雨月神社
藤宮舞美
キャラ文芸
大学に通う為に田舎に引越してきた普通の大学生、霧立八雲。
彼はその町で『雨月神社』に参拝する。
しかしその『雨月神社』は八雲が住んでいる浮世(この世)ではなかった。
『雨月神社』は悩みを抱えたアヤカシ、妖怪、神様などが参拝に来る処だった。
そこで八雲は、物腰の柔らかく優しい謎の陰陽師である香果と、香果が大好きな自由な猫又、藤華に出会う。ひょんなことから八雲はアヤカシ町に住むことになり……
雅な陰陽師に誘われ、様々な悩みを解決する。
ほっこりして癒やされる。ちょっぴり不思議で疲れた心に良く効く。さくっと読める風流な日常ミステリ。
最高ランキング1位を頂きました!
ありがとうございます!これからも宜しくお願いします!
その乙女、天界の花園より零れ墜ちし者なれば ~お昼寝好き天女は、眠気をこらえながら星彩の柄杓で悪しき種を天の庭へ返す~
國居
キャラ文芸
【完結しました!】
「深緑(シェンリュ)。そなたは、これより下天し、天界よりこぼれ落ちて、人間界で悪しきものに姿を変えた、天空花園の花々を始末して参れ! 天水をつかって花々の種核を天界へ返すのだ。どれほどの歳月がかかろうとも、必ずやり遂げよ! それまでは、そなたが天界へ戻ることは叶わぬと思え!」
うっかり寝過ごして、大事な水やりを忘れ、天空花園を荒れさせてしまった庭番天女・深緑に、天帝から厳しい命が下った。
初めて人間界に下りるというのに、お情けでつけられた随従者は、ちょっと色好みな青蛙一匹。天の柄杓と万能の薬水を背負い、先行き不安な深緑の旅が始まる。
人間界で知り合った、見た目が良くて腕っ節も確かだが、とにかく酒が大好きという残念男・思阿(シア)が用心棒を志願してくるが――。
―― わたしが落とした種たちを、もう一度天界へ返して、美しく咲かせたい!
その切なる願いを胸に、天真爛漫な墜ち零れ天女が、ときどき昼寝を楽しみながら、まだ知らぬ「恋情」に憧れつつ、人間界での任務に励む。中華風お仕事ほのぼの恋愛ファンタジー。
※中国の神話・歴史などを参考にしてはおりますが、あくまで、つくりもの中華風世界のお話です。天界の設定など、神話通りではありません。他サイトで公開した作品に、加筆・修正して公開しています。
異世界転移に夢と希望はあるのだろうか?
雪詠
ファンタジー
大学受験に失敗し引きこもりになった男、石動健一は異世界に迷い込んでしまった。
特殊な力も無く、言葉も分からない彼は、怪物や未知の病に見舞われ何度も死にかけるが、そんな中吸血鬼の王を名乗る者と出会い、とある取引を持ちかけられる。
その内容は、安全と力を与えられる代わりに彼に絶対服従することだった!
吸血鬼の王、王の娘、宿敵、獣人のメイド、様々な者たちと関わる彼は、夢と希望に満ち溢れた異世界ライフを手にすることが出来るのだろうか?
※こちらの作品は他サイト様でも連載しております。
VTuberなんだけど百合営業することになった。
kattern
キャラ文芸
【あらすじ】
VTuber『川崎ばにら』は人気絶頂の配信者。
そんな彼女は金盾配信(登録者数100万人記念)で、まさかの凸待ち事故を起こしてしまう。
15分以上誰もやって来ないお通夜配信。
頼りになる先輩は炎上やらかして謹慎中。
同期は企業案件で駆けつけられない。
後悔と共に配信を閉じようとしていたばにら。
しかし、その時ついにDiscordに着信が入る。
はたして彼女のピンチに駆けつけたのは――。
「こんバニこんバニ~♪ DStars三期生の、『川崎ばにら』バニ~♪」
「ちょっ、人の挨拶パクらんでもろて!」
「でゅははは! どうも、DStars特待生でばにらちゃんの先輩の『青葉ずんだ』だよ!」
基本コラボNG&VTuber屈指の『圧』の使い手。
事務所で一番怖い先輩VTuber――『青葉ずんだ』だった。
配信事故からの奇跡のコラボが話題を呼び、同接は伸びまくりの、再生数は回りまくりの、スパチャは舞いまくり。
気が付けば大成功のうちに『川崎ばにら』は金盾配信を終えた。
はずだったのだが――。
「青葉ずんだ、川崎ばにら。君たちにはこれからしばらくふたりで活動してもらう。つまり――『百合営業』をして欲しい」
翌日、社長室に呼ばれた二人は急遽百合営業を命じられるのだった。
はたしてちぐはぐな二人の「百合営業」はうまくいくのか?
【登場人物】
川崎ばにら : 主人公。三期生。トップVTuber。ゲーム配信が得意。コミュ障気味。
青葉ずんだ : ヒロイン。特待生。和ロリほんわか娘のガワで中身は「氷の女王」。
網走ゆき : 零期生。主人公&ヒロイン共通の友人。よく炎上する。
生駒すず : 一期生。現役JKの実力派VTuber。
羽曳野あひる: 二期生。行動力の化身。ツッコミが得意。
秋田ぽめら : 特待生。グループのママ。既婚者。
津軽りんご : 特待生。ヒロインの親友。現在長期休業中。
八丈島うみ : 三期生。コミュ力お化けなセンシティブお姉たん。
出雲うさぎ : 三期生。現役女子大生の妹系キャラ。
石清水しのぎ: 三期生。あまあまふわふわお姉さん。どんとこい太郎。
五十鈴えるふ: 三期生。真面目で三期生の調整役。癒し枠。
星降る夜に神様とまさかの女子会をしました
あさの紅茶
キャラ文芸
中学の同級生と偶然再会して、勢いのままお付き合いを始めたけれど、最近ほんとすれ違いばかり
専門学校を卒業して社会人になった私
望月 葵 モチヅキ アオイ (21)
社会人になってすっかり学生気分の抜けた私と、まだまだ学生気分の彼
久しぶりのデートでケンカして、真っ暗な山奥に置き去りにするとか、マジありえない
路頭に迷う私に手を差しのべてくれたのは、綺麗な山の神様だった
そして…
なぜか神様と女子会をすることになりました
どういうこと?!
**********
このお話は、他のサイトにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる