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第二幕
エンディミオンの日常 その1
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月城恵莉花は、高校生でありながら、現在、<フラワーショップ・エリカ>の名目上の代表取締役である。
と言っても、実際の経営は母親である月城さくらが取り仕切り、また、<商品>である花の数々を育てているのは父親であるエンディミオンだけれど。
もっとも、エンディミオンの立場とすれば、<雇われ職人>的なものだろうか。
彼自身は、その辺りについては特に拘りはなかった。ただただ花を愛でていられればそれで良かった。
そんなエンディミオンは、ダンピールである。けれど、同じ<ダンピール>ではあっても、悠里や安和とは雰囲気から何からまったく違っている。
今でこそ、
<ただ愛想の悪い人見知りの激しい無口な少年>
にも見える彼も、かつては自身が抱えている衝動や殺意を隠そうともしない、<手負いの猛獣>のような雰囲気を纏っていた。
なにしろ彼は、実の父親である吸血鬼が行っていた<実験>によって生み出された<実験動物>でしかなかったから。
人間と同じように心を持った<人格>として育てられず、ゆえに彼は<心>を育てることをされてこなかった。
その所為か、ただただ衝動だけが肥大化し、そこに自分を『作った』吸血鬼の父親に対する激しい憎悪が乗り、
<破壊と殺戮の怪物>
と化していた。
そして、この世のすべての吸血鬼を狩る、
<バンパイア・ハンター>
でもあった。
実際、何人もの吸血鬼を彼は屠ってきている。
しかもそれだけではなく、自分に敵対した、自分に敵意を向けた、自分に危害を加えようとした、自分が狙っていた吸血鬼の味方をした人間達も、その手に掛けてきた。
彼は、生粋の<復讐者>だった。
かつての彼を見れば、<復讐>という行為の本質が分かるだろう。
『復讐は何も生まない!』
そんな上辺だけの言葉は彼には届かない。
彼は復讐によって何かを生み出そうとなど、微塵も考えていなかったからだ。
彼はただただ、くだらない実験のために、自分や、自分と同じ境遇の者達を何人も作り出しては捨てた実の父親と、その父親と同じ<吸血鬼>をこの世界から一匹残らず処分したかっただけである。
それは、吸血鬼に与する人間も同じ。
自分の行為が何かを生み出すかとか、誰かに望まれているかとか、そんなことはどうでもよかったのである。
ただひたすらに、憎い。
それだけだ。
だから、吸血鬼を始末する際にどれだけの犠牲が出ようともどうでもよかった。むしろ、自分の目的のためなら許される<当然の犠牲>でしかなかった。
ましてや、復讐という行為を肯定している人間であれば、
「だったら、オレの復讐の役に立ってくれて当然だな」
とさえ考えていたのだった。
と言っても、実際の経営は母親である月城さくらが取り仕切り、また、<商品>である花の数々を育てているのは父親であるエンディミオンだけれど。
もっとも、エンディミオンの立場とすれば、<雇われ職人>的なものだろうか。
彼自身は、その辺りについては特に拘りはなかった。ただただ花を愛でていられればそれで良かった。
そんなエンディミオンは、ダンピールである。けれど、同じ<ダンピール>ではあっても、悠里や安和とは雰囲気から何からまったく違っている。
今でこそ、
<ただ愛想の悪い人見知りの激しい無口な少年>
にも見える彼も、かつては自身が抱えている衝動や殺意を隠そうともしない、<手負いの猛獣>のような雰囲気を纏っていた。
なにしろ彼は、実の父親である吸血鬼が行っていた<実験>によって生み出された<実験動物>でしかなかったから。
人間と同じように心を持った<人格>として育てられず、ゆえに彼は<心>を育てることをされてこなかった。
その所為か、ただただ衝動だけが肥大化し、そこに自分を『作った』吸血鬼の父親に対する激しい憎悪が乗り、
<破壊と殺戮の怪物>
と化していた。
そして、この世のすべての吸血鬼を狩る、
<バンパイア・ハンター>
でもあった。
実際、何人もの吸血鬼を彼は屠ってきている。
しかもそれだけではなく、自分に敵対した、自分に敵意を向けた、自分に危害を加えようとした、自分が狙っていた吸血鬼の味方をした人間達も、その手に掛けてきた。
彼は、生粋の<復讐者>だった。
かつての彼を見れば、<復讐>という行為の本質が分かるだろう。
『復讐は何も生まない!』
そんな上辺だけの言葉は彼には届かない。
彼は復讐によって何かを生み出そうとなど、微塵も考えていなかったからだ。
彼はただただ、くだらない実験のために、自分や、自分と同じ境遇の者達を何人も作り出しては捨てた実の父親と、その父親と同じ<吸血鬼>をこの世界から一匹残らず処分したかっただけである。
それは、吸血鬼に与する人間も同じ。
自分の行為が何かを生み出すかとか、誰かに望まれているかとか、そんなことはどうでもよかったのである。
ただひたすらに、憎い。
それだけだ。
だから、吸血鬼を始末する際にどれだけの犠牲が出ようともどうでもよかった。むしろ、自分の目的のためなら許される<当然の犠牲>でしかなかった。
ましてや、復讐という行為を肯定している人間であれば、
「だったら、オレの復讐の役に立ってくれて当然だな」
とさえ考えていたのだった。
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