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第二幕

悠里の日常 その4

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『敬う価値のない奴までなんて敬わなきゃいけないんだよwwwww』

そんなことを言う者もいるだろう。

実際、悠里の母親のアオも、

「正直、私の両親や兄を尊敬しろとか言われたってまったく無理だわ~」

と言っている。

けれど、

『尊んで敬う』

までは無理でも、ただ相手を一人の人間として扱うくらいのことならできなければおかしいのではないか?

大人なら。

それとも、相手が自分の上司であったり非常に大事な取引先であったり自分より圧倒的に大きな力を持っていたりしても、

『お前のことは敬えないからwwwww』

とか言って罵れるのか?

そんなことが本当にできるのか?

相手が自分の上司であったり非常に大事な取引先であったり自分より圧倒的に大きな力を持っていたら媚び諂って、相手が自分より弱かったら見下して尊大な態度に出るのか?

そういうのを<卑怯>と言うのではないのか?

『相手を一人の人間として扱う』

というのは、相手が自分より強いか弱いかで態度を変えることを言うのではない。

『相手が誰であっても最低限の礼儀礼節をわきまえる』

それが『相手を敬う』ということであると、ミハエルとアオは子供達に対して実際の態度で示してきた。

子供達を、『一人の人間として』接してきた。

それが『相手を敬う』ということであると、身をもって教えてきたのだ。

だから、悠里ユーリ安和アンナも、まだ小学生である椿つばきでさえ『相手を敬うとはどういうことか?』を知っている。

だから相手を敬うことができる。

もちろん、まだまだ未熟だから常に完璧にはできないものの、少なくとも目先の感情に任せて相手を罵ることが『敬う』ことではないのは理解している。

それを、ひたすら他人を嘲り侮辱し見下し罵っている者達は、自分の親から教わってきただろうか?

会社でパワハラをしている者は、自分の親から教わってきただろうか?

『自分は客だ!』と店員などに横柄な態度を取る者は、自分の親から教わってきただろうか?

<煽り運転>をする者は、自分の親から教わってきただろうか?

結局はそういうことだろう。

自分の子供に『他人を敬うとはどういうことか?』を教えていない親は決して少なくないと思われる。

もしくは、自分では教えているつもりだったけれどそれがちゃんと子供に伝わっているのかをしっかり確認していない親が多いのだろうか?

丁寧にそれをしてこなかった<育児>は、果たして『まとも』と言えるのだろうか? 手抜きではないのか?

親だって人間だから完璧にはなれないのは事実だ。

けれど、自分の手抜き育児を棚に上げて、

『もう大人になったんだから関係ない』

というのは、いくらなんでも甘えが過ぎるのではないだろうか?

少なくとも悠里は、もし、自分が親になった時には、ミハエルやアオが自分に対してしてくれた程度のことはしなくちゃおかしいとは思っている。

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