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自分や兄のような人間には
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その話を聞いていて、アオも言う。
「みんなの言うことももっともだと私も思う。
洸は、自分が家族を守りたいから家を出ないだけっていうのも私も知ってるし。
だから人にはそれぞれ事情があるんだっていうことを、改めてみんなも忘れないで欲しいな」
『人にはそれぞれ事情がある』
これもよく言われることだけれども、実際には受け取る側に精神的な余裕がなければなかなか割り切れないだろう。
そして、
『他人の事情は考慮してもらえるのに、自分は考慮してもらえない!』
などと考えてしまっても。
ゆえにアオは、悠里や安和や椿だけじゃなく、洸も恵莉花も秋生の事情も考慮することにしている。その実感が必要だと感じている。
そういうことも改めて実感しながら子供達の言葉に耳を傾ける。
子供達が何をどう感じてどんなことを考えているのかを知る。それを知らなければ子供達に届く言葉も掛けられない。
自分のことをロクに知りもしない両親に何を言われても一ミリも納得できなかった自分自身の経験があればこそ。
その上で言う。
「洸も恵莉花もそうだけど、秋生も、悠里も、安和も、椿も、これからもきっと心無い言葉を掛けられたりすることもあると思う。
でも、私は知ってるから。みんながどんな子か、どんな人か。それを知らない人達が何を言ってても、右から左に聞き流しておけばいいよ。
それでも腹が立ったら、悲しかったら、辛かったら、私に話して。私に言いにくいことだったら、さくらに話して。ミハエルでもエンディミオンでもいい。
だけどお願い。他人に八つ当たりするのだけはやめて欲しい。あなた達をこの世に送り出したのは、送り出す決断をしたのは、私やミハエルやさくらやエンディミオンだから。他の人には関係ないから。あなた達の不平不満を第一に受け止めなきゃいけないのは私達だから」
アオの言葉に、子供達も真剣に耳を傾ける。その姿は、アオやミハエルやさくらが子供達に対して見せていた姿そのものだった。子供達はアオやミハエルやさくらが見せていたそれを真似ているだけだ。
そして、
「分かってるよ。ママ。アオママやミハエルパパやママ以外の人はちゃんと話聞いてくれないし、聞かなきゃいけないわけじゃないのも分かるし」
恵莉花が真っ直ぐにアオを見詰めながら応える。すると、洸も秋生も悠里も安和も椿も続けて頷いた。
それを確かめて、アオはホッとする。
自分の両親がしようとしなかったことを自分ができてることが確認できて。
少なくとも自分の子供達が、自分や兄のような人間にはなっていないことが確認できて。
何しろ兄は、小学校の頃にはすでに他人を見下し蔑み痛罵することを『当たり前』だと思っていたのだから。
「みんなの言うことももっともだと私も思う。
洸は、自分が家族を守りたいから家を出ないだけっていうのも私も知ってるし。
だから人にはそれぞれ事情があるんだっていうことを、改めてみんなも忘れないで欲しいな」
『人にはそれぞれ事情がある』
これもよく言われることだけれども、実際には受け取る側に精神的な余裕がなければなかなか割り切れないだろう。
そして、
『他人の事情は考慮してもらえるのに、自分は考慮してもらえない!』
などと考えてしまっても。
ゆえにアオは、悠里や安和や椿だけじゃなく、洸も恵莉花も秋生の事情も考慮することにしている。その実感が必要だと感じている。
そういうことも改めて実感しながら子供達の言葉に耳を傾ける。
子供達が何をどう感じてどんなことを考えているのかを知る。それを知らなければ子供達に届く言葉も掛けられない。
自分のことをロクに知りもしない両親に何を言われても一ミリも納得できなかった自分自身の経験があればこそ。
その上で言う。
「洸も恵莉花もそうだけど、秋生も、悠里も、安和も、椿も、これからもきっと心無い言葉を掛けられたりすることもあると思う。
でも、私は知ってるから。みんながどんな子か、どんな人か。それを知らない人達が何を言ってても、右から左に聞き流しておけばいいよ。
それでも腹が立ったら、悲しかったら、辛かったら、私に話して。私に言いにくいことだったら、さくらに話して。ミハエルでもエンディミオンでもいい。
だけどお願い。他人に八つ当たりするのだけはやめて欲しい。あなた達をこの世に送り出したのは、送り出す決断をしたのは、私やミハエルやさくらやエンディミオンだから。他の人には関係ないから。あなた達の不平不満を第一に受け止めなきゃいけないのは私達だから」
アオの言葉に、子供達も真剣に耳を傾ける。その姿は、アオやミハエルやさくらが子供達に対して見せていた姿そのものだった。子供達はアオやミハエルやさくらが見せていたそれを真似ているだけだ。
そして、
「分かってるよ。ママ。アオママやミハエルパパやママ以外の人はちゃんと話聞いてくれないし、聞かなきゃいけないわけじゃないのも分かるし」
恵莉花が真っ直ぐにアオを見詰めながら応える。すると、洸も秋生も悠里も安和も椿も続けて頷いた。
それを確かめて、アオはホッとする。
自分の両親がしようとしなかったことを自分ができてることが確認できて。
少なくとも自分の子供達が、自分や兄のような人間にはなっていないことが確認できて。
何しろ兄は、小学校の頃にはすでに他人を見下し蔑み痛罵することを『当たり前』だと思っていたのだから。
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