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ウマウマ♡

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「お~、ウマウマ♡」

皆と一緒にカレーを食べたアオは嬉しそうに笑顔で堪能していた。

その姿がとてもあたたかい。

アオは何も『躾け』てくれなかった。

『我慢しろ』

とも、

『辛抱しろ』

とも言ってくれなかった。

言ってくれなかったけれども、悠里ユーリ安和アンナ椿つばきあきら恵莉花えりか秋生あきおも、無駄に他人と諍いを起こさずに済んでいる。

それが事実だ。

基本的に規則も破ったりしない。破る必要がないから。

しかも幼い頃から蒼井家の子供達も月城つきしろ家の子供達も、他人を押し退けてまで何かを得ようとはしなかった。

子供向けのイベントなどでお菓子や玩具おもちゃが配られる時も、強引に前に出ようとはせず、空くまでおとなしく待った。

児童施設などで自分が使おうとしてた玩具おもちゃを他の子が強く欲しがれば、それを譲り、奪い合うこともしなかった。

他の子をイジメることも、意地悪することもなかった。

その必要がなかったからだ。

それに比べて、我慢や辛抱を躾けられてきたはずの者達が何をしていただろう。

『自分の思い通りにならないから』

『ストレスを解消したいから』

そんな理由で、他人を怒鳴りつけたりイビったり虐げたり罵ったりしていないか? ネットで罵詈雑言を他人にぶつけることで憂さ晴らししていないか?

『そういうのは人として好ましくない』

と教わっているはずにも拘らず、どうしてそんな風にしたいと思ってしまうのを我慢しない? 辛抱しない? 

我慢や辛抱を教わってきたのではないのか? 躾けられてきたのではないのか?

俗に<躾>と呼ばれるものがいかに有形無実であるか、その証拠があまりに日常にありふれてはいないか?

なのにどうしてその事実に目を瞑る? 認めたくないものであっても、見たくないものであっても、それが事実であるなら、『認めたくない』『見たくない』という甘えを我慢し辛抱できないとおかしくないか?

本当に我慢や辛抱を身に付けてきたのならば。

<躾>は、子供を親や大人にとって都合よく操るためにあるものではないはずだが?

蒼井家の子供達も月城つきしろ家の子供達も、我慢や辛抱はあまりしない。単に普段から満たされているので、あまり物欲に走ることもない。

他人を自分に都合よく操ろうという考えを子供の前で実践して見せるから、

『世の中は自分に都合よく動いてこそ正しい』

とか、

『すべてが自分の好みに合わせてくれるのが当たり前』

とか考えるのがいるのではないのか?

アオもミハエルもさくらも、今はエンディミオンも、子供達が自分に都合よくいてくれるのが当たり前だとは思っていない。

だから子供達も、他人が自分の思い通りにならないことを、いい気はしないからつい家族の前では不平不満をこぼしてしまうものの、それを見ず知らずの他人にまでぶつけずに済んでいるということだった。

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