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嘲笑ってしまえる程度のことさえ
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人間は、ついつい面倒なことは避けたがる生物だ。これはアオやさくらも実は変わらない。それどころか、吸血鬼であるはずのミハエルやセルゲイ、ダンピールであるエンディミオン、ウェアウルフの洸さえ変わらない。
ただ、面倒だからといって、いい加減に済ませても大きな問題にはならないものと、そうじゃないものの区別をつけているに過ぎない。
『面倒だから』と自分の話を聞いてもらえなかったらどう思うだろう? いい気がするだろうか? 自分の話を聞いてくれない相手の言うことを聞きたいと思えるだろうか?
こんな風に言われると、
『メンドクサwww』
という反応をする者も多い。けれど、自分は、そんな言い方をする相手の言葉を聞きたいと思うだろうか?
自分は、『メンドクサwww』などと返す相手の言葉など聞きたくないのに、そうやって相手をバカにするのか?
随分とムシのいい話ではないか?
アオもミハエルもさくらも、だからこそ『面倒くさい』では済まさなかっただけだ。それこそ子供達が赤ん坊の頃から。
『子供が自分の言うことを聞いてくれない!』
と言うのなら、自分は子供の話に耳を傾けてきたのか? 相手の言葉に耳を傾けない人間の姿を子供に見せてきたのではないのか? それを子供が真似をしているだけだとは思わないか?
自分が子供をこの世に送り出す決断をしたというのにその子供と向き合うことをせずに、それで、
『子供が自分の言うことを聞いてくれない!』
と泣き言を並べるのか?
自分はそんな人間を尊敬したいと思うか?
言葉にすればたったそれだけのことだろう。
けれど、その『たったそれだけのこと』を、アオもミハエルもさくらも、そして今ではエンディミオンも、何度も何度も何度も何度も、まるで最大の素数を求め続ける数学者のように、宇宙の成り立ちを解き明かそうとする天文学者のように、延々と自分に言い聞かせ子供達の言葉に耳を傾けることを続けてきた。
『それと数学や天文学の問題と一緒にするとかwww』
と嗤うなら、なぜそれを実行できない? 自分の親に話を聞いてもらいたいだけの子供の言葉に耳を傾けることがなぜできない?
嘲笑ってしまえる程度のことさえ実行できない自分が、子供に対して誇れる人間だと思うのか?
ただ、一人でそれを行うのは確かに辛いだろう。虚しくなることもあるかもしれない。
それを、アオとミハエル、さくらとエンディミオンは互いを支え合うことで乗り切ってきた。
そうやって支え合える相手を見付けられたことが、最も幸運なことだったのかもしれない。
ただ、面倒だからといって、いい加減に済ませても大きな問題にはならないものと、そうじゃないものの区別をつけているに過ぎない。
『面倒だから』と自分の話を聞いてもらえなかったらどう思うだろう? いい気がするだろうか? 自分の話を聞いてくれない相手の言うことを聞きたいと思えるだろうか?
こんな風に言われると、
『メンドクサwww』
という反応をする者も多い。けれど、自分は、そんな言い方をする相手の言葉を聞きたいと思うだろうか?
自分は、『メンドクサwww』などと返す相手の言葉など聞きたくないのに、そうやって相手をバカにするのか?
随分とムシのいい話ではないか?
アオもミハエルもさくらも、だからこそ『面倒くさい』では済まさなかっただけだ。それこそ子供達が赤ん坊の頃から。
『子供が自分の言うことを聞いてくれない!』
と言うのなら、自分は子供の話に耳を傾けてきたのか? 相手の言葉に耳を傾けない人間の姿を子供に見せてきたのではないのか? それを子供が真似をしているだけだとは思わないか?
自分が子供をこの世に送り出す決断をしたというのにその子供と向き合うことをせずに、それで、
『子供が自分の言うことを聞いてくれない!』
と泣き言を並べるのか?
自分はそんな人間を尊敬したいと思うか?
言葉にすればたったそれだけのことだろう。
けれど、その『たったそれだけのこと』を、アオもミハエルもさくらも、そして今ではエンディミオンも、何度も何度も何度も何度も、まるで最大の素数を求め続ける数学者のように、宇宙の成り立ちを解き明かそうとする天文学者のように、延々と自分に言い聞かせ子供達の言葉に耳を傾けることを続けてきた。
『それと数学や天文学の問題と一緒にするとかwww』
と嗤うなら、なぜそれを実行できない? 自分の親に話を聞いてもらいたいだけの子供の言葉に耳を傾けることがなぜできない?
嘲笑ってしまえる程度のことさえ実行できない自分が、子供に対して誇れる人間だと思うのか?
ただ、一人でそれを行うのは確かに辛いだろう。虚しくなることもあるかもしれない。
それを、アオとミハエル、さくらとエンディミオンは互いを支え合うことで乗り切ってきた。
そうやって支え合える相手を見付けられたことが、最も幸運なことだったのかもしれない。
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