ショタパパ ミハエルくん(耳の痛い話バージョン)あるいは、(とっ散らかったバージョン)

京衛武百十

文字の大きさ
上 下
190 / 571

自分の結婚相手に

しおりを挟む
『結婚相手の親の介護とか本心ではしたくない』と思っている人間はきっと多いだろう。

『と言うか、『結婚なんてしない!』と思う原因の一つだよね。間違いなく…』

とも思う。自分がそうだから、

『お世話になってるんだから恩を返すのは当たり前』

などという綺麗事で、

『配偶者の親の介護をするのは当たり前』

とは言えない。

『だいたいさあ、<介護>ともなれば、『家計を助けてもらった』とかなんていう程度の<恩>と釣り合うようなことなの? 

百歩、いや、万歩譲って実の子供にとっちゃ<育ててくれた人>という意味で恩があるとしても、配偶者にとっちゃ、どう足掻いたって<赤の他人>だよね。それを『タダで介護しろ』とか、やっぱり無理筋にしか思えないんだけど?』

アオは思う。

さらに、

『ミハエルの場合は、お母さんは亡くなってるし、お父さんは消息不明らしいしで、しかもどっちも吸血鬼な訳だから、生きてたとしたって人間による介護なんて必要としてないよね。

私の場合はそんなこんなで<配偶者の親の介護問題>については完全に回避できちゃってるから、あれこれ言える立場じゃないんだよな~。

これはさくらも同じ。エンディミオンの両親はそれこそ二人とも亡くなってるし』

というわけで、それこそ口出しするのはおかしいとさえ思っていた。

その上で、

恵莉花えりか安和アンナの言うことはもっともだと思うよ。

あきらが私のことを大切に想ってくれてるのは嬉しいし、椿つばきがさくらを助けてあげたいと思ってくれてるのは、母親として誇りに感じる。

だけどさ、現実問題として、赤の他人のために自分の人生を費やすような<介護>を進んで行える人って滅多にいないんだよ。お金をもらって<仕事>としてやるのでさえ半端なく大変なことなんだ。

それなのに、『タダでやらせよう』と本気で思ってる相手とその親のために、奉仕できる? って話だよね。

椿もさ、洸やさくらのことを思い浮かべるんじゃなくて、クラスの男子と結婚してその親のって考えたら、どう思う?」

と口にすると、瞬間、椿も、

「!? それはない!! ムリムリムリムリムリ……っっ!!」

手を振り首を振って全力で否定した。

これにはあきらも苦笑いだ。悠里ユーリ秋生あきおも。

けれど、恵莉花と安和は、

「でしょう~?」

揃って声を上げる。

アオにとってのミハエルのように、

『この人を育ててくれた御両親なら、自分にできる範囲で力になりたい』

と思える相手であればともかく、そこまでじゃない相手と結婚してその親の面倒までとなれば、現実問題として容易ならざる事態に違いない。

ましてや、

『自分の結婚相手に介護やらせたらタダじゃん』

とか考えてるような人間と結婚したいと思えるだろうか?

そう考えれば確かに<結婚のデメリット>は、非常に大きいものなのだろう。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

花よめ物語

小柴
キャラ文芸
名高い騎士とおくびょうな少女の恋物語。アーサー王伝説を下地にしました。少女のもとに、ある騎士の一通の求婚状が届いたことから物語がはじまります──。 ✳︎毎週土曜日更新・5話完結✳︎

オレは視えてるだけですが⁉~訳ありバーテンダーは霊感パティシエを飼い慣らしたい

凍星
キャラ文芸
幽霊が視えてしまうパティシエ、葉室尊。できるだけ周りに迷惑をかけずに静かに生きていきたい……そんな風に思っていたのに⁉ バーテンダーの霊能者、久我蒼真に出逢ったことで、どういう訳か、霊能力のある人達に色々絡まれる日常に突入⁉「オレは視えてるだけだって言ってるのに、なんでこうなるの??」霊感のある主人公と、彼の秘密を暴きたい男の駆け引きと絆を描きます。BL要素あり。

フェンリルさんちの末っ子は人間でした ~神獣に転生した少年の雪原を駆ける狼スローライフ~

空色蜻蛉
ファンタジー
真白山脈に棲むフェンリル三兄弟、末っ子ゼフィリアは元人間である。 どうでもいいことで山が消し飛ぶ大喧嘩を始める兄二匹を「兄たん大好き!」幼児メロメロ作戦で仲裁したり、たまに襲撃してくる神獣ハンターは、人間時代につちかった得意の剣舞で撃退したり。 そう、最強は末っ子ゼフィなのであった。知らないのは本狼ばかりなり。 ブラコンの兄に溺愛され、自由気ままに雪原を駆ける日々を過ごす中、ゼフィは人間時代に負った心の傷を少しずつ癒していく。 スノードームを覗きこむような輝く氷雪の物語をお届けします。 ※今回はバトル成分やシリアスは少なめ。ほのぼの明るい話で、主人公がひたすら可愛いです!

「お節介鬼神とタヌキ娘のほっこり喫茶店~お疲れ心にお茶を一杯~」

GOM
キャラ文芸
  ここは四国のど真ん中、お大師様の力に守られた地。  そこに住まう、お節介焼きなあやかし達と人々の物語。  GOMがお送りします地元ファンタジー物語。  アルファポリス初登場です。 イラスト:鷲羽さん  

あやかし狐の身代わり花嫁

シアノ
キャラ文芸
第4回キャラ文芸大賞あやかし賞受賞作。 2024年2月15日書下ろし3巻を刊行しました! 親を亡くしたばかりの小春は、ある日、迷い込んだ黒松の林で美しい狐の嫁入りを目撃する。ところが、人間の小春を見咎めた花嫁が怒りだし、突如破談になってしまった。慌てて逃げ帰った小春だけれど、そこには厄介な親戚と――狐の花婿がいて? 尾崎玄湖と名乗った男は、借金を盾に身売りを迫る親戚から助ける代わりに、三ヶ月だけ小春に玄湖の妻のフリをするよう提案してくるが……!? 妖だらけの不思議な屋敷で、かりそめ夫婦が紡ぎ合う優しくて切ない想いの行方とは――

処理中です...