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大人としての見解
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自分達が、吸血鬼やダンピールという、
<人間を圧倒する超絶的な力>
を有する者達とどうやって折り合っていけばいいかを改めて確認しつつ、アオは続けた。
「世の中には、『自分にとって不快なものについてはいくらでも叩いていい』、『自分にとって不快なものは他人も同じように不快に感じるべきだ』、『自分の感覚こそが正義』と考え、それを<大きな声という力>で他人に押し付けようとする輩がいる。
その対象自体は、<自分の好みに合わないアニメ・小説・漫画>だったり、<性的なものを想起させる表現>であったり、<品性下劣で子供に悪影響がありそうなテレビ番組>であったり、<嫌いなタイプの芸能人や著名人>であったりするだろうが、やってることはどれも同じだ。そして、皆、『自分こそが正しい』と思ってる。
と同時に、自分と同じことをやってる相手を毛嫌いしているというのも特徴だな。
で、それを指摘すると、『叩いてる標的が違うことが大事!』とか言うんだろう。『自分がそれを叩くことで物事は良くなっていく!』とかな。
いや、客観的に見ればどれも同じだよ? どれも他人からすれば大きなお世話な自己満足に過ぎないって。やってることは同じなんだよ。
しかも皆、自分を客観視することを極端に嫌う。私はそれを大人として非常に残念に思うんだ。
ただ、同時に、それを頭ごなしに否定して『正しくないからやめろ!』と大きな声を上げても意味がないことも分かる。自分もその輩と同じになってしまうからな。
こういうことは、本人が自らを客観視できるようにならないと状況は変わらないんだろう。
エンディミオンが変われたのも…いや、本人は変わったとは認めないだろうから、この場合は『自分を抑えることができている』と言うべきか?なのも、彼自身が自らを客観視できるようになったからだと思うんだ。
自分のやろうとしてることがどういう結果を生むのか、冷静に見られるようになったんだろうな。
私はこの事実を知るからこそ、『大きな声という力で他人に押し付ける』ことの非合理さを実感できる。それは無用の反発を招くだけだ。事実、そういうことをやってる連中は、納得できない人間からの大きな反発を招いているではないか。
大人ならその現実に目を向けて欲しいと私は思うよ」
そう締め括ったアオに、さくらも、
「はい、私もそう思います」
と頷き、仕事を続けた。
そんな二人の脇では、椿が絵本を読みながら佇んでいる。
決して彼女に聞かせようと思ったわけではないものの、結果として、大人としての見解を聞かせることになっていたのだった。
<人間を圧倒する超絶的な力>
を有する者達とどうやって折り合っていけばいいかを改めて確認しつつ、アオは続けた。
「世の中には、『自分にとって不快なものについてはいくらでも叩いていい』、『自分にとって不快なものは他人も同じように不快に感じるべきだ』、『自分の感覚こそが正義』と考え、それを<大きな声という力>で他人に押し付けようとする輩がいる。
その対象自体は、<自分の好みに合わないアニメ・小説・漫画>だったり、<性的なものを想起させる表現>であったり、<品性下劣で子供に悪影響がありそうなテレビ番組>であったり、<嫌いなタイプの芸能人や著名人>であったりするだろうが、やってることはどれも同じだ。そして、皆、『自分こそが正しい』と思ってる。
と同時に、自分と同じことをやってる相手を毛嫌いしているというのも特徴だな。
で、それを指摘すると、『叩いてる標的が違うことが大事!』とか言うんだろう。『自分がそれを叩くことで物事は良くなっていく!』とかな。
いや、客観的に見ればどれも同じだよ? どれも他人からすれば大きなお世話な自己満足に過ぎないって。やってることは同じなんだよ。
しかも皆、自分を客観視することを極端に嫌う。私はそれを大人として非常に残念に思うんだ。
ただ、同時に、それを頭ごなしに否定して『正しくないからやめろ!』と大きな声を上げても意味がないことも分かる。自分もその輩と同じになってしまうからな。
こういうことは、本人が自らを客観視できるようにならないと状況は変わらないんだろう。
エンディミオンが変われたのも…いや、本人は変わったとは認めないだろうから、この場合は『自分を抑えることができている』と言うべきか?なのも、彼自身が自らを客観視できるようになったからだと思うんだ。
自分のやろうとしてることがどういう結果を生むのか、冷静に見られるようになったんだろうな。
私はこの事実を知るからこそ、『大きな声という力で他人に押し付ける』ことの非合理さを実感できる。それは無用の反発を招くだけだ。事実、そういうことをやってる連中は、納得できない人間からの大きな反発を招いているではないか。
大人ならその現実に目を向けて欲しいと私は思うよ」
そう締め括ったアオに、さくらも、
「はい、私もそう思います」
と頷き、仕事を続けた。
そんな二人の脇では、椿が絵本を読みながら佇んでいる。
決して彼女に聞かせようと思ったわけではないものの、結果として、大人としての見解を聞かせることになっていたのだった。
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