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スクーリング

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 今日は羅美が通う予定の通信制の学校で<スクーリング>があったから二人で行く。要するに<学校説明>と<見学>と<個別の進路相談>だな。日曜日だったから俺も仕事は休まずに済んだ。
 学校に行く途中、
「また入試とかあんの?」
 羅美が訊いてくるから、
「いや、羅美が行く予定のところにはない。ただ、一応、作文と面接はあるそうだ」
 俺はHPから得た情報を基にきっぱりと応える。
「うえ~? 作文? 面接ってなにすんのさ?」
 作文および面接と聞いて羅美はげんなりした様子だったが、
「要するになんでその学校に入りたいと思ったか? ってことだろ。あと、本人が明らかにヤバそうな奴とかじゃないかどうかってのを確認するだけだと思うから、普通にしてれば問題ないはずだ。作文の内容も、『妊娠したことで全日制に通い続けるのが難しくなりましたけど、ちゃんと高校は卒業しておきたいと思ったからです』的なことを書いておけば大丈夫だと思う」
 と告げる。
「妊娠のこと、書いて大丈夫?」
「ああ、その辺りについては正直にもう伝えてあるから、嘘は吐かなくていい。他の生徒に話す必要はないけどな」
 とも。そうだ。児童相談所の方からあらかじめ、
『こういう事情がある生徒が入学を希望している』
 的な連絡が行ってると栗原が言っていた。だから今回の個別相談の際に再度確認することになる。
 そうして学校に着くと、
「あ~……いつも行ってる学校だから別に普通だね」
 羅美が呟く。そりゃそうだ。
 それでいて教室は全日制で使っているものとは別とのこと。少子化で生徒数が減ったことで教室に空きができてそうなったんだとか。昔は全日制も定時制も通信制も同じ教室を使ってたから<置き勉>ができなかったというのもあるらしい。なるほど。
 でも今はこうして教室を分けたことでこの学校では置き勉もできるようになったそうだ。ただし、通信制については週に一~二回しか教室に来ないから原則<置き勉>禁止。それをやって盗まれたりしても学校からの補償はない。これもまあ納得はできるな。同時に、今時、教科書もデジタル化していいんじゃないか? そうすりゃ学校から貸与されたタブレット一つを持ち運べば済むはずだとは思いつつ。
『青春の一ページの思い出に紙の教科書も必要だ!』
 みたいなことを言うのもいるかも知れないが、いやいや、通信制や定時制を利用するような生徒の場合は、全日制のような、
 <甘酸っぱい青春>
 みたいなものを求めてるわけじゃないと思うんだがなあ。この辺は頭の固いお役人方が考えを改めるのを待つしかないのか。

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