上 下
75 / 106

加害者側に回ることは成功を担保してはくれない

しおりを挟む
 ちょっとエキサイトしちまったが、考えてみりゃそういうことなんだよな。世の中には、
『イジメ加害者の方が社会で成功する』
 的な印象はあるらしいとは言え、まあ確かに、他者の痛みや苦しみや悲しみみたいなものを考えない奴の方が思い切ったことをやれるだろうから当たればでかいかもしれないものの、
『成功者にはサイコパス気質な者が多い』
 的なことも言われたりしてるらしいものの、でもな、
『イジメ加害者の方が必ず成功する』
 とは限らないだろう? イジメ加害者だった奴がつまらない人生を送ってたりすることもあるしな。もしくは、ガチ反社になってたり怪しい商売してたりってこともある。
 結局はそういうことだ。
『加害者側に回ることは成功を担保してはくれない』
 ってことだよ。
 俺はまあ昔のことは思い出したくもないが、同級だった連中も、なんかすごい成功者になったのがいるって話は聞かないしな。それよりは、怪しい商売を始めて逮捕された奴と、傷害事件起こして逮捕された奴と、イキがってスピード出し過ぎて街路樹に突っ込んで車ごと体が真っ二つになった奴がいたとは聞いてる。
 特に街路樹に突っ込んだ奴は結構大きなニュースにもなったよ。同乗してた三人ももれなく死んだし。そいつとは一時期ツルんでたこともあった。ソリが合わなかったからすぐに縁遠くなったけどな。
 死んだ人間を悪く言いたくはないが、とにかく強い相手には遜るが弱い相手にはやたら強い、つまんねえ奴だった。
 しかもそいつの父親も、葬式の時に同じ車に乗ってて一緒に死んだ奴の遺族相手に、損害賠償の話でモメて殴り合いのケンカしたと、参列した奴から聞いた。
 どれも俺が三十になる前の話だ。
 俺自身、イキがって社会のことを分かってるつもりなだけのバカなガキだった。斜に構えた態度を『カッコイイ』と思ってた。
 ……そういう部分が今もないわけじゃないのも否定はしないが……
 いずれにせよ、あの当時の俺に今の羅美を支えられる力なんかなかったよ。それだけは間違いない。
 だからこそ、他所様の<事情>をどうこうしようとか、ガキが考えることじゃないんだって今なら分かる。
『親が躾けないんなら自分が躾けてやる』
 とか、大人がやれないことを、なんでようやく毛が生え揃った程度のガキにできるとか思えるんだ? それが<余計なこと>だってんだよ。
 <親に躾けてもらえてないガキ>
 なんか放っておけ。そんなものの対処は大人にやらせればいい。とにかくガキがすることじゃないっての。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

イケメンにフラれた部下の女の子を堪能する上司の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

同僚くすぐりマッサージ

セナ
大衆娯楽
これは自分の実体験です

処理中です...