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他者をサンドバッグにして

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 なんてことを俺がSNSとかで発信してたらそれこそ炎上してただろうな。それはつまり、他者をサンドバッグにして鬱憤を晴らしたい奴がそんだけ多いってことだ。
 でもな、
 <幸せを掴める奴>
 ってのは、
『他者をサンドバッグにして鬱憤を晴らすのが当たり前』
 とは思わない奴なんだよ。確かに、『他者をサンドバッグにして鬱憤を晴らすのが当たり前』とか考えてる奴でも、目先の快楽や悦びってのは手に入れられるだろう。と言うか、『他者をサンドバッグにして鬱憤を晴らす』ってのがまさにその<目先の快楽>であり<悦び>そのものなんだろう? だからやめることができない。
 けどよお、今のネットで有名になってる連中を見てても思うだろう?
『それで本当に幸せなのか?』
 ってよ。
 別にそういう生き方を本人が選択するなら俺個人は『好きにしろ』としか思わないさ。有名になれて金が稼げてるならそれだけで幸せだと感じるのも個人の自由だ。ただ、長女や羅美があんな生き方をしようとしたら、俺は止めるだろうとしか思わない。てか、羅美が変に目立ったらそれこそどんだけ攻撃されるか分かったもんじゃない。
 <元パパ活女でどこの誰が父親かも分からない子供を生んだシングルマザー>
 こう書いただけで、
 <他所様を攻撃することで鬱憤を晴らしたい奴らの格好の的>
 だとは思わないか?
 もし羅美がそんな生き方を選ぶと言うのなら、少なくとも子供は任せておけないな。完全に俺が引き取って養子縁組して俺の子供として育てる。でないと、
『親が好き勝手に生きてることのしわ寄せを丸ごと受ける』
 という、今の羅美の境遇と全く同じことを繰り返すだろうが。それで言うと、<父子家庭>ってのは不思議なもので、<母子家庭>と同じことをしててもなぜかあたたかい目で見てもらえる傾向にあるしな。
 俺の長女の場合は本人が望んで前妻についていったし俺のことを嫌ってるし経済的にも向こうにいた方が確実に恵まれるからいいとしても、羅美と羅美の子供の場合はな。
 正直、羅美が俺の前妻と同じように普通の仕事であのレベルの稼ぎを得られる人間になれるとは到底思えないし、だったら俺のところにいた方がマシだと思う。
 俺は身の程をわきまえない暮らしをするつもりもないし。

 仕事で顧客回りをしながらもそんなことを考える。
 で、会社に戻ると、牧島まきしまが休憩室で電話をしてて俺を見掛けた途端、
「ありがとうね。じゃあまた羅美ちゃんの様子を教えて」
 とか言ってたのが聞こえた。<羅美>の名前が聞こえたことで俺も意識を向けてしまったんだな。

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