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欲しいもの
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こうしてドライブを終えてガレージに愛車を戻して、羅美はメットとゴーグルを外して手に持って、家に戻る道を二人で歩く。もうすっかり日も暮れて、空には月が掛かってた。
「明日、誕生日なんだな。なんか欲しいものはあるか?」
問い掛ける俺に羅美は、
「……家族……」
と応えた。冗談なのか本気なのか分からないが……いや、<冗談めかした本音>なんだろうな。
それに対して俺は、
「俺だけじゃダメか……?」
問い返す。すると、
「オッサンはオッサンじゃん……まだ、家族じゃねーし……」
だと。これは決して、『結婚したい』という意味じゃないと感じる。あくまで俺が父親で羅美が娘という<家族>が欲しいって意味だろう。ただ、
「そっか。でも今はまだ、羅美が俺の娘になるにもお前の今の親の承諾が必要だな」
と、現実を口にする。
「ムカつく……」
羅美も素直な気持ちを口にした。がんじがらめの世知辛いこの社会にムカついたってことだろう。とは言え、
「成人すれば本人の意思だけで養子縁組もできたと思うが、そういう意味でも十八で成人ってことになるってのは、ラッキーだったかもな。少なくとも二年は早まったわけだ」
とも付け足した。これには彼女も顔を上げて俺を見て、
「そっか! そうだよな! 十八で大人になれんだもんな!!」
テンションが上がる。
そして、羅美は言ったんだ。
「ウチさ、母親の再婚相手にヤられたんだ……十一の時に……」
「!?」
いきなりの告白に、俺もギョッとなる。まあ、虐待くらいは想像してたが、そっちかあ……
「母親もよ、気付いてたと思うんだ……でも、あいつも、ホントのお父さんが事故で死んでそれからおかしくなって、ウチのことなんかどうでもよくなってたんだと思う……優しくしてくれる男にはホイホイ股開いてたよ。
で、最初の再婚相手には二年ほど、毎日ヤられてたな……で、子供できたら医者連れてかれてオロさせられた。二回、オロしたよ……でもさあ、その後、オロした赤ちゃんが夢ン中に出てくるようになったんだよ。みゃあみゃあ泣いてんの。それが耳から消えねーんだ。
けど、そいつは他に女作って、自分の名前とハンコだけあれした離婚届だけ置いていなくなって……そしたらあの女、またすぐ他に男作って再婚してんだぜ? それが今の父親だよ。でもこいつもやっぱクズで、またヤられたよ。十四ン時だったな……そうもうなったらウチもどうでもよくなってさ。同じヤられんならあの男にタダでヤらせるより金取った方がトクじゃん? それでアプリで金くれるヤツ探してたんだよ」
って、激重すぎるわ!! ありがちな話だけどよ!!
「明日、誕生日なんだな。なんか欲しいものはあるか?」
問い掛ける俺に羅美は、
「……家族……」
と応えた。冗談なのか本気なのか分からないが……いや、<冗談めかした本音>なんだろうな。
それに対して俺は、
「俺だけじゃダメか……?」
問い返す。すると、
「オッサンはオッサンじゃん……まだ、家族じゃねーし……」
だと。これは決して、『結婚したい』という意味じゃないと感じる。あくまで俺が父親で羅美が娘という<家族>が欲しいって意味だろう。ただ、
「そっか。でも今はまだ、羅美が俺の娘になるにもお前の今の親の承諾が必要だな」
と、現実を口にする。
「ムカつく……」
羅美も素直な気持ちを口にした。がんじがらめの世知辛いこの社会にムカついたってことだろう。とは言え、
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とも付け足した。これには彼女も顔を上げて俺を見て、
「そっか! そうだよな! 十八で大人になれんだもんな!!」
テンションが上がる。
そして、羅美は言ったんだ。
「ウチさ、母親の再婚相手にヤられたんだ……十一の時に……」
「!?」
いきなりの告白に、俺もギョッとなる。まあ、虐待くらいは想像してたが、そっちかあ……
「母親もよ、気付いてたと思うんだ……でも、あいつも、ホントのお父さんが事故で死んでそれからおかしくなって、ウチのことなんかどうでもよくなってたんだと思う……優しくしてくれる男にはホイホイ股開いてたよ。
で、最初の再婚相手には二年ほど、毎日ヤられてたな……で、子供できたら医者連れてかれてオロさせられた。二回、オロしたよ……でもさあ、その後、オロした赤ちゃんが夢ン中に出てくるようになったんだよ。みゃあみゃあ泣いてんの。それが耳から消えねーんだ。
けど、そいつは他に女作って、自分の名前とハンコだけあれした離婚届だけ置いていなくなって……そしたらあの女、またすぐ他に男作って再婚してんだぜ? それが今の父親だよ。でもこいつもやっぱクズで、またヤられたよ。十四ン時だったな……そうもうなったらウチもどうでもよくなってさ。同じヤられんならあの男にタダでヤらせるより金取った方がトクじゃん? それでアプリで金くれるヤツ探してたんだよ」
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