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俺の人生は俺自身のもんだ
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俺は自分が上手くやれなかったから前妻や長女と良好な関係を築けなかった。その事実は俺自身の問題だ。だから前妻のことも長女のことも恨んでねえよ。俺が捨てられたって話を聞いて前妻や長女のことを罵倒する奴がいたら許せねえな。
俺の人生は俺自身のもんだ。成功も失敗も俺のもんだ。事情もろくに知らねえ赤の他人が口出しするんじゃねえよ。
前妻や長女のことを蔑むのは、前妻と結婚し長女を迎える決断をした俺自身を蔑むのと同じだ。それをわきまえろ。
上手くできないこと自体は別に問題じゃない。人生を完璧に上手く生きられてる奴なんてどれだけいるってんだ? 大金を稼いでる奴が上手く生きられてるってか? 自分の周りにイエスマンしか置けないような奴が成功者か?
まあ、そういう奴らは別にいい。問題は、自分はそこに辿り着けてねえクセにそういう奴らを、
『上手くやれてる』
って信じ込んでる奴だ。そういう奴は結局、儲けてる奴らの<餌>に過ぎないんじゃないのか? 実際にゃ幻に過ぎない<夢>を見させられてよ。
まあそれも好きにすればいいさ。だが、俺の前妻と長女を悪く言うのは許さないってだけだ。
でもこう言うと、
『負け犬の遠吠えw』
とか嘲笑うんだろうけどな。
けどな、俺は今、羅美を受け止めてやりたい。世間がそれを<グルーミング>と呼ぶなら勝手にしろ。俺自身も今、羅美と一緒にいるのが楽しいんだ。前妻や長女とは築けなかった関係を築けてる実感がある。
つくづく、<相性>ってヤツが大事なんだなって思わされるよ。それが合わない相手とのために<社交辞令>ってもんがあるってことだな。
「羅美、俺はお前が好きだ。大事にしてやりたいと思う。だから、好きなだけ俺のところにいればいい」
そう口にしたのは、<社交辞令>じゃない。俺の本心だ。すると羅美は、
「なんだよ急に。プロポーズか? ヤベえ、キモい!」
俺から離れようとする仕草を見せつつも、声は笑っているのが分かった。その上で、
「ウチはもう、オッサンとヤりたいとか思ってねーよ。オッサンのこと、男だと思ってない……だから、ヤらせねーぞ」
だとさ。まったく、俺も羅美も、知り合ったばかりの時とはずいぶんと変わっちまったな。いや、素に戻れただけか。
「誰が自分の娘となんかヤるか。気持ち悪い。でも、『好き』なんだよ。分かるだろ? それがお前が本当に欲しかった『好き』なんじゃないのかよ?」
俺の言葉に、
「うっせ……! 『好き』とか言うな! キモいんだよ!」
顔を逸らしてそう言いながらも、ゴーグルとマフラーの間から覗く頬がにやけてるのが分かったのだった。
俺の人生は俺自身のもんだ。成功も失敗も俺のもんだ。事情もろくに知らねえ赤の他人が口出しするんじゃねえよ。
前妻や長女のことを蔑むのは、前妻と結婚し長女を迎える決断をした俺自身を蔑むのと同じだ。それをわきまえろ。
上手くできないこと自体は別に問題じゃない。人生を完璧に上手く生きられてる奴なんてどれだけいるってんだ? 大金を稼いでる奴が上手く生きられてるってか? 自分の周りにイエスマンしか置けないような奴が成功者か?
まあ、そういう奴らは別にいい。問題は、自分はそこに辿り着けてねえクセにそういう奴らを、
『上手くやれてる』
って信じ込んでる奴だ。そういう奴は結局、儲けてる奴らの<餌>に過ぎないんじゃないのか? 実際にゃ幻に過ぎない<夢>を見させられてよ。
まあそれも好きにすればいいさ。だが、俺の前妻と長女を悪く言うのは許さないってだけだ。
でもこう言うと、
『負け犬の遠吠えw』
とか嘲笑うんだろうけどな。
けどな、俺は今、羅美を受け止めてやりたい。世間がそれを<グルーミング>と呼ぶなら勝手にしろ。俺自身も今、羅美と一緒にいるのが楽しいんだ。前妻や長女とは築けなかった関係を築けてる実感がある。
つくづく、<相性>ってヤツが大事なんだなって思わされるよ。それが合わない相手とのために<社交辞令>ってもんがあるってことだな。
「羅美、俺はお前が好きだ。大事にしてやりたいと思う。だから、好きなだけ俺のところにいればいい」
そう口にしたのは、<社交辞令>じゃない。俺の本心だ。すると羅美は、
「なんだよ急に。プロポーズか? ヤベえ、キモい!」
俺から離れようとする仕草を見せつつも、声は笑っているのが分かった。その上で、
「ウチはもう、オッサンとヤりたいとか思ってねーよ。オッサンのこと、男だと思ってない……だから、ヤらせねーぞ」
だとさ。まったく、俺も羅美も、知り合ったばかりの時とはずいぶんと変わっちまったな。いや、素に戻れただけか。
「誰が自分の娘となんかヤるか。気持ち悪い。でも、『好き』なんだよ。分かるだろ? それがお前が本当に欲しかった『好き』なんじゃないのかよ?」
俺の言葉に、
「うっせ……! 『好き』とか言うな! キモいんだよ!」
顔を逸らしてそう言いながらも、ゴーグルとマフラーの間から覗く頬がにやけてるのが分かったのだった。
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