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子供を買う大人

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『子供をヤる道具にしか思ってない大人だっているクセに』
 大虎が口にしたその言葉は、言い訳のしようもないくらいに事実だと思う。<援助交際>や<パパ活>なんてのがはびこってるのは、
 <子供を買う大人>
 がいるからだ。俺は妻や長女を愛することもできないダメな奴だが、その辺りはわきまえようと思ってる。
『誘ってくるのがいるのが悪い!』
 だ? いやいや、それは、
『いい歳をした<大人>が分別をわきまえてなくていい』
 ってことの根拠にはならないぞ? よく言ってんじゃねえか。
『最近の子供は我慢が足りない』
 とかよお? おやあ? 『我慢が足りない』のはどっちかなあ? 子供に誘われたからってホイホイそれに乗るのが、
 <我慢ができる大人>
 なのかなあ?
 自分は我慢もできないクセに、『最近の子供は我慢が足りない』とはよく言ったもんだな。
 ま、俺も<我慢ができない大人>の一人だからあんま偉そうには言えないんだけどよ。ただ、『子供を買う』って方面じゃ、自制もできるってだけでな。
 まあでも、俺が<オカズ>に使ってたネット上の映像にその<子供>がいなかったかと言うと、これははっきりとは断定できない。だから大っぴらに子供を買ってるような奴らを批判しないだけだ。俺にはその資格があるとも思えないしな。
 ただし、その<子供>が自分を売り込んでくるなら、そりゃ断固として拒絶するしかない。
 だから言ったんだ。
「お前は子供なんだからよ! 一方的に大人を頼っときゃいいんだ! <対価>なんか気にすんな! 小賢しいんだよ! 子供のクセに!」
 正直、『つい口に出た』だけだが、必ずしも完全にそう思ってるわけでもないが、同時に本音でもある。
 すると大虎は、困惑した表情で、
「でも……それじゃ……」
 とか口にする。そんな大虎に俺はさらに言った。
「じゃあお前の実の父親は、お前になんか<対価>を求めてたってのかよ? お前を可愛がってる代わりに『なんか寄越せ』とか言ってたのかよ? お前はそんな父親が好きだったのかよ?」
 俺のその言葉に、ギョッとなって、
「それは……」
 言い淀んで顔を逸らしてしまった。その間に俺は、チャーハンをかっこむ。
「お前もさっさと食え。冷めちまうぞ」
 そう告げると、大虎はのそのそと自分が作ったチャーハンを食べ始めた。
 それから俺は風呂に入って、寝る用意をする。ベッドは返してもらったが、あれからもずっと大虎は俺と一緒に寝てる。
 風呂から上がると、大虎は食事の後片付けをしてた。
「……」
 ひどく落ち込んだ様子でな。

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